本研究課題の最終年度である平成27年度は、平成26年度に開発した高空間分解能シンチレーターである5 μm厚の透光化Ce:YAGセラミックスを使用し、最終目標である1 μmを下回る微細構造を持つX線2次元信号を計測することを目標とした。 透光化Ce:YAGセラミックス・高開口数およびmm厚の補正環付対物レンズ・高感度カメラをコンポーネントとして、間接変換型検出器の構築を行った。分解能計測用のサンプルとしてタンタルX線吸収パターンを持つX線チャートを使用した。これらを用いて、実験室のX線管とSPring-8のビームラインの2つのX線光源を用い、空間分解能計測を実施した。 X線管による評価では、X線チャートをシンチレーターにゼロ距離(接触)でマウントし、X線回折における滲み成分を最小に抑えるようにした。まずは、可視光照明下において、X線チャートに対しフォーカス合わせを実施した。基板の厚みから生じる球面収差による滲み成分もこのとき、最小になるように調整した。ベストフォーカスで250 nm のLine & Spaceが観察でき、可視の光学系として500 nmの空間分解能を持つことを確認した。次に、X線管からのX線を使用し、X線チャートのX線投影像を計測した。これにより、300 nmのLine & Spaceが観察できた。これにより、最終目標である1 μmを下回る微細構造を持つX線2次元信号を計測の実施に成功した。 次に、SPring-8のビームラインで同様の評価を行った。高い強度を利用した高品質なデータの取得、供用時に想定するサンプル・シンチレーターが離れたセットアップにおいて性能がどの程度変化するかの確認の2点が目的であった。サンプル・シンチレーター間の距離は10 mmとした。結果として、500 nm のLine & Spaceが観測でき、1 μmの空間分解能を得られることがわかった。
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