研究課題/領域番号 |
26800001
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
島倉 裕樹 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (90399791)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 代数学 / 頂点作用素代数 / リー代数 / 自己同型 / 軌道体構成法 / 内部自己同型 / アファインリー代数 / 正則頂点作用素代数 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、Schellekens のリストにある 71 個のリー代数を内包する中心電荷 24 の正則頂点作用素代数を全て構成することである。
本年度は位数 3 の格子の自己同型の持ち上げとして得られる格子頂点作用素代数の自己同型に軌道体構成法を適用して得られる中心電荷 24 の正則頂点作用素代数の分類を佐垣氏(筑波大)と石井氏(東京電機大)と共同で行った。その結果、既に佐垣氏との共同研究で考察した場合以外は、格子頂点作用素代数が得られることが確認できた。したがって、新しい正則頂点作用素代数を構成するためには別の手法が必要である。これら成果は論文「Automorphisms of Niemeier lattices for Miyamoto's \mathbb{Z}_{3}$-orbifold construction」にまとめられ、Mathematische Zeitschrift に採録が決定している。
また、Lam 氏(中央研究院・台湾)と共同で内部自己同型に付随する軌道体構成法の研究を行った。特に位数が 2 の場合に一般論を確立した。さらに、Montague の次元公式を証明し、アファイン頂点作用素代数の一般論を用いた重さ 1 の空間のリー代数構造の決定方法の研究を行った。その結果、新たに 3 個の中心電荷 24 の正則頂点作用素代数が構成でき、また 2 個の中心電荷 24 の正則頂点作用素代数の構成方法の道筋を与えた。これら結果を論文「Orbifold construction of holomorphic vertex operator algebras associated to inner automorphisms」にまとめて、現在投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通りに位数 2 の内部自己同型に付随する軌道体構成法の理論を確立し、その応用として新しい中心電荷 24 の正則頂点作用素代数の構成を行うことが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
軌道体構成法を用いた中心電荷 24 の正則頂点作用素代数の構成を引き続き行う。特に、位数 3 以上の内部自己同型を用いることで新たな中心電荷 24 の正則頂点作用素代数の構成が行える可能性に気がついたので、この方針での考察を行う。また、関連する話題として、リー代数による頂点作用素代数構造の一意性についても研究を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度はダルムシュタット工科大学において Nils Scheithauer 氏の研究グループと研究打合せを行う予定であったが、彼らが日本に滞在したため、国内で研究打合せを行った。したがって、この打合せに関する国外出張を行う必要がなくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の研究打合せの旅費として使用する。特に、中国で開催予定の研究会に参加する旅費を繰り越し分から支出する予定である。
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