研究実績の概要 |
本年度は、昨年度、渡部正樹(東大数理)さんとの共同研究で発見・証明したSchurの分割定理の一般化の論文を完成させた(arXiv:1609.01905)。これはK\"ulshammer-Olsson-Robinson理論(Invent.Math.,2003年)のスピン類似を考察する中で得られた、奇数$p\geq 3$ごとのRogers-Ramajujan型分割定理である。$p=3$の場合は「Schurの分割定理 (1926年)」として分割理論の教科書で標準的に扱われている。$p=5$の場合は、G.AndrewsによるRogers-Ramajujan型恒等式の3パラメータ一般化の研究の過程で1970年代に予想されたもので、約20年後にAndrews-Bessenrodt-Olssonによって計算機を使う形で証明された(Trans.A.M.S.,1994年)。我々の一般化・証明は京都スクールによるperfect crystalの理論を用いるもので、分割理論に量子群の表現論から新しい知見を与えられたと考えている 。 またこれによって「奇標数$p$のスピン対称群の既約表現の良いラベル付けは何か」という根源的な問いにも一つの解答を与えたと考えている。この分割定理の''局所的な''証明の可能性を模索する中で、B2型とG2型regular柏原クリスタルの純グラフ理論的特徴付けを得ることに成功した(投稿準備中)。
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