当研究課題の主な目的は、分岐条件付ガロア群の岩澤理論的な構造および不変量を、数論的トポロジーの視点から解明することにより、岩澤理論の発展に貢献することである。期間延長した当該年度の目標は、前年度で飛躍的に進展した課題の精緻化と、遅延課題の進展であった。まず、その進展課題の研究成果を、大規模な国際研究集会Iwasawa2017での講演において発表するとともに、岩澤理論の未解決問題に対する最近の進展状況の調査を行った。その研究発表と調査を通して、講演内容と収集した情報を整理したことにより、精緻化すべき方向性を見定めることができた。特に、高次冪剰余記号による(一般)Greenberg予想の判定法など、岩澤理論における多くの命題を、数論的トポロジーの視点から再現できる可能性があり、新規の研究課題にも応用できることがわかった。さらに、これまでの研究で得た知見を活かし、数論的トポロジーの共同研究に参画することもできた。そこでは特に、円の3分体上において、27次Redei型拡大の存在性判定法と、存在しない場合における3重冪剰余記号(3を法としたMilnor数)の不確定性を、具体例とともに与えることに貢献した。遅延課題については、十分な検証を行える段階まで到達しなかったが、新規の研究課題(局所体上の反復多項式の研究など)を応用することで発展させられる見込みもあるため、当研究課題の目標は、十分に満足のゆくところまで達成できたと考えられる。
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