研究課題
代数多様体は、適当な次元の射影空間と直積をとって有理的になるとき、安定有理的であるという。安定有理性は有理性と単有理性(あるいは有理連結性)の中間概念である。本年度は、昨年度に引き続き0サイクルに関する特殊化定理と正標数における微分形式の特異な挙動を利用することにより、一般次元代数多様体の非安定有理性に関する結果を得た。より具体的には、3次元以上の一般次元において、非特異重み付きファノ超曲面が非安定有理的となるような次数と重みに関する十分条件を与えた。さらに、線形部分空間を含むようなn次元のn次超曲面が非安定有理的となるような十分条件も与えた。研究機関全体を通じて、3次元重み付きファノ完全交叉に関して、余次元2のものについては21族の双有理的森ファイバー構造を決定し、余次元3のものについては双有理剛性を有するものを分類した。結果として、3次元重み付きファノ完全交叉で双有理剛性を有するものの決定が完了した。さらに、双有理的森ファイバー構造を丁度3つ持つような3次元ファノ多様体の初めての例を構成し、この例を通してファノ多様体の族における双有理的森ファイバー構造の個数が上半連続的に振る舞わないことも観察できた。研究開始時点では想定していなかった研究ではあるが、射影空間の巡回被覆、射影空間上のコニック束、del Pezzo束、および重み付き超曲面等の非安定有理性に関する条件を与えることができた。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件)
Algebraic Geometry
巻: 5 ページ: 160~199
Journal fur die reine und angewandte Mathematik
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"Algebraic Varieties and Automorphism Groups", Advanced Studies in Pure Mathematics
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