実階数1の半単純リー群の離散部分群によって与えられる体積有限な双曲多様体において,素測地線の分布とラプラシアンのスペクトルの分布との間には密接な関係があり,各々が多様体(の基本群)を特徴づける重要な要素である.本研究ではこれらの2つの分布をセルバーグの跡公式を用いて関連付けながら調べることで,多様体を特徴づけることを目的としている.本研究期間中には、素測地線定理に付随する極限公式を用いて合同部分群に関するセルバーグゼータ関数の非絶対収束域における値の評価を行った.加えて,ヘッケ作用素に関する跡公式と強い関連性のある2次形式の類数和に関する漸近評価を導いた.
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