研究実績の概要 |
SO(n,2)とGL(2)のテンソル積L函数の特殊値の代数性を考察するために、このL函数を含む特殊直交群とGL(n)とのテンソル積L函数の積分表示を考察した。このL函数についてはD.Ginzburg、S.Rallis、D.Soudryにより積分表示が与えられていたが、彼らの考察を一般化する事に取り組んだ。この取り組みの結果として、Kato-Murase-SuganoによるBessel modelの公式を用いることで、分裂型の直交群の場合に不分岐計算が、彼らのものと比べて大幅に簡易化できることが分かった。また、このL函数のn=3の場合として考えられるGSp(4)とGL(2)のテンソル積L函数に関して、特殊値の代数性の証明を完成させ投稿した。これは筆者の以前の結果の大幅な一般化である。この結果に関して、ドイツのMathematisches Forschungsinstitut Oberwolfachで開催されたワークショップ「Modular Forms」において講演を行った。
GSp(4)とGL(2)のテンソル積L函数についてはp進L函数の構成についても考察した。E.EischenによるGU(n,n)のp進Siegel Eisenstein測度に関する結果を用いれば、シンプルな場合にp進L函数の構成が可能であることが分かった。
上記の研究と平行して、p進体上のGL(2n,E)のユニタリタイプの表現に関して、(GL(2n,F),1)-モデルとWhittakerモデルの間の積分変換を考察した。ここでEはFの二次拡大。これは、メタプレクティックタイプの場合のLapid-Maoの結果の類似である。この研究に関してE.Lapid氏を訪問し研究連絡を行った。
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