研究実績の概要 |
投稿中であった論文(arXiv:1208.0125)が加筆修正の後、 Math. Z. 誌に受理された。以前受け取った査読者からのコメントには、スーパーカスピダル表現の L 関数の計算を含めるよう提案があった。しかしながら局所 Langlands 対応と比較すれば、全てのスーパーカスピダル表現を扱うのは困難であると思われる。そこで研究期間中に行ったレベル零表現の L 関数の計算例を新たに論文に加え、スーパーカスピダル表現の L 関数は次数 0 または 1 の両方の値を取りうることの注意を加えて再投稿ののちに論文が受理された。 また分岐 U(2,1) のニューベクトルの理論についての研究を行い、不分岐 U(2,1) の場合と概ね同様の結果が得られた。これまでに未解決であったのは非スーパーカスピダル表現の場合である。これらの表現のうち、可約放物型誘導表現の既約部分表現が三種類あり、その中で誘導表現自身が完全可約である一種類が未解決であった。この場合をホイタッカー関数の精密な計算によって解決した。その結果、分岐 U(2,1) に対してもニューベクトルは存在し、そのゼータ積分は L 関数を表示することが示された。 現在他の研究者によって大域的なユニタリ群のニューベクトルについての予想が提示されている。本研究の結果は小さなユニタリ群 U(2,1) の場合ではあるが、この予想を支持する根拠となるものであり、今回の結果も周辺に影響を与えるものである。
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