研究課題/領域番号 |
26800024
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研究機関 | 鶴岡工業高等専門学校 |
研究代表者 |
三浦 崇 鶴岡工業高等専門学校, その他部局等, 助教 (60631934)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 岩澤理論 / 岩澤主予想 / Brumer-Stark予想 / Fittingイデアル / イデアル類群 / 整数論 |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続きT-分岐イデアル類群の(0次)Fittingイデアルの研究を行った.Brumer-Stark予想は,ある条件を満たす全ての素点の集合Tに対してT-分岐イデアル類群の零化域イデアルにT-modified Stickelberger元が属することと言い換えられる.本研究が目指すBrumer-Stark予想の精密化とは,ある条件を満たす全ての素点の集合Tに対してT-分岐イデアル類群のFittingイデアルを決定することである.本年度は昨年度の研究では扱いきれなかった素点の集合Tに対して,基礎体が有理数体の場合にT-分岐イデアル類群及びT-分岐岩澤加群の研究を行い,特別な素点の集合Tに対して新しい結果を得ることができた.素点の分岐や1のベキ根に関するいくつかの仮定のもとこの結果を基礎体が総実代数体の場合に拡張することもできた.しかしながら,これまでの研究結果を踏まえるとT-分岐イデアル類群のFittingイデアルを完全に一般の状況下で決定するのは当初の予想を越える非常に難しい問題であるのかもしれないという感触がある.そこで別の方向性としてT-分岐イデアル類群のPontryagin双対のFittingイデアルに関する研究も開始した. また本年度は楕円曲線のMazrur-Tate予想,すなわちSelmer群のPontryagin双対のFittingイデアルにモジュラー元が属するという予想についても考察を行った.pが通常還元を持つ素数の場合について,いくつかの実例計算と一般論の構築のために必要ないくつかの道具立てができた状況である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Brumer-Stark予想は総実代数体上のアーベル拡大に関する予想である.基礎体が有理数体の場合にT-分岐イデアル類群のFittingイデアルを決定することは,Brumer-Stark予想の精密化のためのモデルケースという位置付けであったのだが,当初の想定より難しい問題であることが次第に明らかになってきており未だ達成できていない.特にT-分岐岩澤加群のFittingイデアルを決定する問題が予想より難しく,この部分に多くの時間を費やしている状況である.また楕円曲線のMazur-Tate予想についても通常還元素数については栗原将人氏の先行研究で仮定されているいくつかの条件を取り除き結果を拡張する予定であったが,この点も未だ研究段階である.
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今後の研究の推進方策 |
T-分岐イデアル類群のFittingイデアルを決定する問題と同時に,T-分岐イデアル類群のPontryagin双対のFittingイデアルを決定する問題も研究していく.そのためにT-分岐イデアル類群の順極限のPontryagin双対のFittingイデアルを調べる必要があるが,この点についてはTが空集合の場合の栗原将人氏の先行研究を参考にする予定である.また,無限次元の結果を有限次元に降下する手法については,T-分岐イデアル類群の相対拡大に関する振る舞いについて調べたいくつかの知見があり,これらを有効活用できるのではないかと思われる.Mazur-Tate予想についても現在の研究を継続しつつ,新たにT-modified Selmer群や特異還元を持つ素数の±Selmer群のFittingイデアルについて研究を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の校務多忙により十分な研究時間を確保できなかったため,予定していた出張・研究打合せ・学会参加をいくつかキャンセルしたため.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は補助事業期間延長の申請を行った.研究計画遂行のために本年度できなかった出張・研究打合せ・学会参加を行い予算を執行する予定である.
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