研究課題/領域番号 |
26800031
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
丹下 基生 筑波大学, 数理物質系, 助教 (70452422)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 4次元多様体 / 3次元多様体 / スライス結び目 / リボン結び目 |
研究実績の概要 |
スライス結び目からある平面上のグラフを取りだすことができるが、そのグラフがもつ結び目的性質をとりだす研究を進めた。まず、リボン結び目に制限することで、そのグラフ集合(特異点集合)をまず定義し、その集合が結び目のアレクサンダー多項式を決定することを示した。またその決定公式を得た。問題として、同じ特異集合をもつ結び目は無数に存在し、それらを区別する必要がある。そのヴァリエーションをフレアホモロジーの観点から考察を行った。今後この方向性で研究を深める計画である。 スライスリボン予想に関する幾何学的側面として、結び目の全曲率についての情報を収集した。 3次元のホモロジー球面をバウンドする負定値偶形式4次元多様体に関するある不変量を定義し、その値が決定できるホモロジー球面を多く探した。この不変量は4次元多様体の有名予想である11/8予想に関わる不変量であり、今後発展させる必要がある。この結果を論文にし、提出した。また研究集会においても発表した。 レンズ空間結び目のアレクサンダー多項式に関する研究を行った。これまで、そのような結び目のアレクサンダー多項式に関する制限として、第2項までは存在したが、この研究により4項目までの制限を得ることができた。この制限はレンズ空間内のある1橋結び目にも同じようにもつことを示した。この結果を論文としてまとめ、提出し、国内の集会において発表をした。 国内のハンドルを扱う研究者を集めて月一のペースでセミナー(ハンドルセミナー)を行い多くの議論を行った。また3月に微分トポロジーに関係する集会を開き、国内の多くの研究者が集まり、微分トポロジーに関する意見交換を行った。 学会講演を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
リボン結び目に関する非カテゴリー部分に関しては十分な結果を得たが、リボン円盤やスライス円盤に関係する議論はまだ不十分であり、遅れていると思われる。そのような議論をするためには、ホモロジーの構成の議論を精密に行う必要があり、時間がかかる。これが研究が進んでいない理由の一つである。分岐被覆との関係も未知なる話題であり関係性を探る。 微分構造に関係する話題として負定値偶形式バウンドを考察したが、負定値偶形式をもつ4次元多様体の構成方法がこれまでそれほど確立していないことから、研究を困難にしている。
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今後の研究の推進方策 |
レンズ空間に関する分類をまとめる。その際、多くのホモロジー球面についても同様の分類表を作成する。一般のホモロジー球面において、レンズ空間の中の1橋結び目の配置からアレクサンダー多項式を計算する方法を確立する。そのとき、アレクサンダー多項式の非ゼロ係数がどのように分布するのか?また係数の交代性や平坦性などがどのような状況で崩れるのかについて明らかにする。 4次元の微分構造に関係する前年度の不変量を計算する手法や負定値偶形式をもつバウンドをつくる構成的方法を確立する。 リボン結び目(円盤)のアレクサンダー多項式やフレアホモロジーを定義する。 研究実績に記述したハンドルセミナーをこれからも継続して行い多くの議論を生成させる。
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