研究課題/領域番号 |
26800034
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
佐藤 正寿 東京電機大学, 未来科学部, 准教授 (10632010)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ハンドル体写像類群 / 配置空間 / 有限型不変量 |
研究実績の概要 |
平成28年度は平成27年度に引き続き、主にハンドル体写像類群のホモロジー群について研究を行った。内容は以下の3点である。 (1)トーラス上の順序つきの点の配置空間のホモロジー群について、計算を行った。すでに配置空間のホモロジー群については様々な研究があるが、種数つきの曲面において順序つきの配置空間については文献が存在しない。これを群ホモロジーとLHSスペクトル系列を用いて計算中である。前年度において種数3のハンドル体写像類群の2次ホモロジー群を決定したが、これはより高次のホモロジー群を求めるために必要である。具体的には、円板複体への作用の同変ホモロジーからハンドル体写像類群のホモロジー群を計算するが、その際にハンドル体内の円板を固定する写像類群のホモロジー群のために必要である。 (2)前年度までに求めた種数2のハンドル体写像類群のコホモロジー環について、論文を整理中である。具体的には、階数2の一般線型群の融合積表示、および、そのコホモロジー環との関連について整理を行っている。 (3)LMO関手とは写像類群の部分群からJacobi図の生成するベクトル空間への写像であるが、このTorelli群およびJohnson核への制限の像について計算した。これを通してJohnsonフィルトレーションのアーベル化、もしくは、より高次のホモロジー群の情報と有限型不変量の関係を得られることが期待される。 また、前年度までに行った石田氏との共同研究の論文が、大阪数学雑誌に採録が決定し印刷中である。さらに上記(3)の研究に関して研究集会で発表を1件行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
有限型不変量に関する研究が進んでいないという点と、前年度までに行ったハンドル体写像類群ホモロジー群に関する研究の論文作成を終えていないという点の2点から研究はやや遅れている。 有限型不変量については具体的な元の像の計算に時間をとられており、論文にできる十分な結果は得られていない。ハンドル体写像類群のホモロジー群の計算は論文の作成は遅れているが、その代わりにより高次のホモロジー群の計算ができる目途が立ってきている。これは研究実績の概要に述べたトーラス上の配置空間のホモロジー群の計算による。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究としては、まず種数2のハンドル体写像類群のホモロジー群、および、種数3のハンドル体写像類群のホモロジー群の論文2つを早期に完成させることを第一の目標としたい。また、それに関連する研究発表を並行して行う。それが終わり次第、LMO関手についてより研究を深めていく。具体的にはそのJohnsonフィルトレーションの像を調べることを考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の研究の中で、主に有限型不変量に関する研究が遅れたことに起因して、研究発表を行う回数が予定よりも少なくなった。このために旅費として想定していた使用額に余剰が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
現在までに進行しているハンドル体写像類群に関する研究を整理し、その発表のための旅費として用いる。また、有限型不変量の研究に関する情報収集および発表の旅費にも用いる予定である。
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