研究実績の概要 |
Coarse幾何学および超空間の選択問題に関する以下の成果を得た. 1. 距離空間に対して知られているcoarse幾何学的無限次元性として漸近的性質Cや有限分解複雑性等が挙げられる. 2016年, Bell, Moran and Nagorkoはこれらの概念の粗空間への自然な拡張の関係を明らかにするとともに, いくつかの問題を提起した. 本研究では, その中の1つ「straight finite coarse decomposition complexityを満たす粗空間はcoarse property Aを満たすか.」が肯定的であることを示した. 本結果をまとめた論文は, 専門誌Topology Appl.へ受理された. 2. 内周の増大するグラフ列の粗非交和に見られる漸近次元の遺伝的無限次元性に関する研究発表を行った. 3. 積空間上の弱選択関数の存在には, approaching number と pseudo-character とよばれる2つの基数が密接に関わることが知られている. D. Shakhmatov氏 (愛媛大学), 元岡耕一氏 (愛媛大学)と弱選択関数に関する共同研究を行い, フィルター空間と呼ばれる集積点が1点のみである空間におけるの上記基数の関係について明らかにした. それによって, フィルター空間やその積空間において, 連続な弱選択関数が存在する, または順序化可能であるための必要(十分)条件を得た. 本結果を論文にまとめ, 現在投稿中である. 4. 元岡耕一氏(愛媛大学)と弱選択関数に関する共同研究を行い, 超空間の選択理論で基本的なvan Mill-Wattelの定理の別証明を得るとともに, その手法を用いて弱順序化可能性の選択関数を用いた特徴づけを得た. 本結果を論文にまとめ, 現在投稿中である.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き, Higsonコロナの次元について, 特に, 内周の増大するグラフ列の粗非交和のHigsonコロナの次元について調べる. また, 現時点で分かっていない粗空間における無限次元概念の関係についても調べる.
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