研究実績の概要 |
最終年度の研究で以下の成果を得た. 1. 実数値連続関数全体のなすBanach空間における正則な線形拡張作用素の存在を用いて定義されるDugundji空間について, D. Shakhmatov氏(愛媛大), V. Valov氏(Nipissing大)と共同研究を行い, 次を得た: 線形作用素の正則性は, (1)作用素ノルムが1である, (2)値1の定数関数を値1の定数関数へ写す, の2つの条件によって定められるが, Dugundji空間の定義において(2)の条件は落とすことができるを示した. 従って, 線形作用素のノルムの条件のみでDugundji空間を特徴付けられることが分かった. 本結果を論文にまとめ, 現在投稿中である. 2. Wallman基とよばれる閉集合の基底から作られるコンパクト化をWallman型のコンパクト化という. Coarse幾何学で基本的な Higsonコンパクト化の位相的性質を調べるために, Y.F. Ortiz-Castillo氏(サンパウロ大)と共同で, 問題「Higsonコンパクト化はWallman型のコンパクトであるか」に取り組み, Higsonコンパクト化がWallman型であるための十分条件を得た. 本研究期間全体を通じては, 主に粗い幾何学における次元と位相空間論における超空間の選択問題について研究を行った. 粗い幾何学における次元については,「整数から成る加法群の可算直和」と「内周の増大するグラフの列の粗非交和」の2つの具体的な距離空間の無限次元性に関する成果を得た. また, 距離を一般化した粗構造と, その無限次元概念に関する成果を得た. 超空間の選択問題については, 連続な弱選択関数の存在と順序化可能性に関する成果を得た.
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