研究課題/領域番号 |
26800051
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
中島 誠 筑波大学, 数理物質系, 助教 (60635902)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ランダム環境中 / ディレクティドポリマー / 自由エネルギー |
研究実績の概要 |
2014年度は2013年度末ごろから取り組んでいたランダム媒質中のディレクティドポリマーと呼ばれる物理模型に関する研究を行った. ランダム媒質中のディレクティドポリマーとランダム環境中の分枝ランダムウォークの関係に関しては古くから知られている. 研究実施者はランダム媒質中のディレクティドポリマーを研究する上で重要な物理量である自由エネルギーに関する考察を行った. 特に2次元空間におけるランダム環境中のディレクティドポリマーの自由エネルギーの高温度における挙動の研究を行い, 予想されていた挙動に十分近い挙動を行うことが示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
個体間に相互作用を持つ分枝過程を研究する際には, 一度ランダム環境で条件付けた期待値を考えた個体数などを考えることが一つの手法となっている. 実際ランダム環境中の分枝ランダムウォークの総個体数の挙動はランダム媒質中のディレクティドポリマーの分配関数と指数的に同じ挙動をとることが知られている. この指数的な挙動を表しているものが自由エネルギーである. このような点で2次元空間におけるランダム媒質中のディレクティドポリマーの自由エネルギーの高温での挙動を求めたことは評価できる.
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今後の研究の推進方策 |
引き続きランダム媒質中のディレクティドポリマーの自由エネルギーに関する問題を考えていく. 空間次元が1次元, 2次元の時には自由エネルギーに関する問題はある程度の解決を見たが, 完全な解決とは言えず今後も取り組んでいく. また空間次元が3次元以上の場合に関してはさらに困難な相転移の臨界点に関する問題がある. これはこの模型に相転移が2種類定義できることに起因しており臨界点が2つ存在することになる. しかしこの臨界点は一致することが期待されている. この臨界点が一致することをまずは証明する.
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