本年度は主に以下のような研究を行った. 1.グメニュク氏と進めていたChordalレブナー関数の擬等角拡張の十分条件に関する論文は国際専門誌に採択された.そこで次のステップとして,擬等角拡張の必要条件に関する研究を進めた.部分的ではあるが結果を得ることができたので,今後はその結果を発展させて一般の場合へも研究を進めたい. 2.統一レブナー理論に関する擬等角拡張性に関しては,Herglotzベクトル場とevolution familyとの連続的依存性の定理とともに証明が完了した.それらの結果は論文にまとめられ,現在投稿中である.これに関連して,Loewner Rangeの研究も同時に進めた.一般の場合はまだ未解決ではあるが,Denjoy-Wolff関数と呼んでいる力学系の「基点」が定数の場合には証明を与えることができた. 3.山梨英和大学の島内氏とともに進めていたLoewner方程式の数値解析的な解を求めて可視化する研究は,理論面における係数の収束性・実験面におけるレブナー関数による拡大領域の可視化の両面からの研究がひととおり完了した.この結果は国際研究誌に投稿され,現在はMinor Revisionの段階である. 4.デル・モナコ氏とシュライジンガー氏とは,N本の曲線が発展するChordalレブナー方程式に現れる確率測度について考察し,特にNを無限にした場合の測度の緊密性について示した.この結果は国際研究誌に投稿され,現在はMinor Revisionの段階である.
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