研究課題/領域番号 |
26800058
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
矢野 孝次 京都大学, 理学研究科, 准教授 (80467646)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 周遊理論 / 確率過程論 |
研究実績の概要 |
本研究は,周遊理論およびその周辺分野に関連するテーマについての研究を通して,周遊理論に関する新しい基礎理論の発展と応用への展開をもたらすことを目的としている. 平成28年度は特に,確率方程式の情報系問題,詳しく言うと,有限集合上の粒子の運動で独立同分布なランダム写像により駆動される離散時刻確率方程式の研究が進展した.伊藤悠氏(京都産業大)および世良透氏(京大院生)との共同研究で,位相半群の代数的理論(リース分解)をに基づく解析により,多粒子の情報系をノイズの部分情報およびそれと独立な成分との合併により表現する公式を得ることができた.この結果についてはもう少し解析を進めた上で,論文にまとめる予定である. また,6月にChristophe Profeta氏(Evry)を招聘し,ランダム時計を用いた処罰問題および関連する諸問題についての情報交換を行った.Groeneboom-Jongbloed-J.A.Wellner(1999)により得られた積分ブラウン運動に対する原点回避条件付け問題に関する結果,およびその発展としてProfetaにより近年得られた原点n回目再訪回避条件付け問題および原点最終訪問時刻による処罰問題に関する結果についてのレビューを乞うた.これを受けて,代表者による単独研究で,乗法的汎関数によるマルコフ過程の処罰問題の一般論についての研究が進んだ.この結果については論文を準備中である. また,2月にJose Luis Perez氏(CIMAT)および佐久間紀佳氏(愛知教育大)を招聘し,それぞれ最適化問題に関する最新の結果および非負整数値レヴィ過程の分布の単峰性に関する最新の結果についてのレビューを乞うた.これらにより,本研究におけるレヴィ過程の諸性質の研究を推進する上での重要な知見を得ることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
有限集合上の粒子の運動で独立同分布なランダム写像により駆動される離散時刻確率方程式の研究が進展した.また,乗法的汎関数によるマルコフ過程の処罰問題の一般論についての研究が論文準備段階に入った.さらに,レヴィ過程の諸性質の研究を推進する上での重要な知見を得ることができた.以上のことから,本研究は順調に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
拡散過程,跳入拡散過程,切替拡散過程,およびレヴィ過程に対し,ランダム時計を用いた処罰問題の研究を進める.それに伴って,周遊測度の構造の解明と連繋理論の発展を目指した研究を引き続き行う.また,レヴィ過程に関係する確率変数の分布の無限分解可能性の研究も進める.さらに,離散時刻確率方程式の情報系解析の研究とそのランダム力学系理論への応用の研究も進める.
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