研究課題
昨年度に引き続き、本研究では断面が d-2 次元の球面と同相であるような d 次元ユークリッド空間の中のチューブ内を動く粒子の運動に対し、次のような問題を確率過程論の立場でモデル化して考察することを目的としている。(1)チューブが収縮する場合、その収縮運動がその運動に対してどのような影響を与えるのか。更に収縮が繰り返されて、チューブがつぶれるような状況下での極限の運動は存在するのか。(2)チューブ内の媒質が変化する場合、その変化が運動にどのような影響を与えるのか。更に媒質が変化し、チューブ内の媒質が複数の層にわかれる状況下での極限の運動は存在するのか。(3)上記の(1)と(2)において極限運動が存在する場合に、どのような性質を満たすのか。これらのことを解明するため研究を遂行した。本年度は、最終目的であった(3)の極限定理について、チューブ内を拡散する粒子の運動について、チューブが収縮する場合、媒質が変化する場合に対応した確率モデルの収束定理について、結果を得ることができた。そこでは、確率過程の特徴づけの一つである、半群の意味で収束を示すことができた。更に、極限に現われる確率過程に対応するディリクレ形式の具体的な表現についても得ることができた。ディリクレ形式の記述により、上で示した収束定理が連続な確率過程からジャンプや消滅を起こす確率過程に収束することがわかり、チューブ内が収縮、または部分的に様相が変化した場合に内部を運動している粒子がどのように変化していくのか考察が可能になった。昨年度に得た結果である円環上のジャンプレイトに関する論文を発表した。今年度得た収束定理の結果はプレプリントにまとめ投稿準備中である。また国際学会等で収束定理について講演を行った。
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Ann. Reports of Graduate School of Humanities and Sciences, Nara Women's University
巻: 33 ページ: 123--132