研究課題/領域番号 |
26800065
|
研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
原田 潤一 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (00580169)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 複素数値熱方程式 / 同次・非同時爆発 / 爆発プロファイル |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、複素数値半線形熱方程式の爆発時における漸近解析を行った。本年度の一つ目の成果は、昨年度みつけた非同時爆発解を具体的に構成したことである。漸近形の導出などの発見的考察は既に済んでいたため、本研究ではそれらを正当化する計算を実行し証明を与えた。特に方程式系に対して、比較定理を用いた点が新しい。ここで用いた手法は、従来の単独の方程式に対する煩雑な証明を簡略化するという利点もある。一方、昨年度から取り組んできた爆発レートなどの爆発解の分類定理については未解決のままである。 二つ目の成果は、非線形境界条件熱方程式の爆発プロファイルを決定したことである。本方程式は、境界から熱流入する系の温度分布を記述しており、境界上でのみ爆発が起こることが知られている。従来までの研究により、爆発時における解の振る舞いは、境界上と内部では全く異なり、内部における漸近挙動は完全にわかっていた。本研究では、未解決であった境界上での漸近挙動を明らかにした。本問題で鍵となるのは、境界と内部の境目の位置とそこでの解の各点評価である。本方程式の場合、回転非対称性のためそこに現れる極限方程式の形が悪くなってしまう。この問題に対して、固有展開の手法を用いて解決したところが新しい。このように非線形問題に対して固有展開を用いる手法は、限られた場合にのみ適用可能と予想されるが、どのような場合に適用できるか調べるのは面白い問題だと思う。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度できていなかった非同時爆発解の存在定理を証明できたため。また当初は予定していなかった爆発プロファイルについての問題も解決することができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
エネルギー臨界単独半線形熱方程式の爆発問題に対して、存在が予想されている爆発解について、その存在証明を与えたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初予定した研究集会を見送ったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
研究集会参加のための旅費として使用する。
|