感受性個体,感染個体,回復個体など,感染症流行を特徴付ける個体を未知関数とする時間遅れをもつ感染症モデルの解の漸近挙動に関する成果を得た.特に,回復個体の免疫損失,感染齢や地理的環境を考慮したパッチ構造など,現実の感染症流行を調べるために一般化されたモデルを構築し,非感染平衡点や感染平衡点の大域安定性を分類できた.本理論は,細胞傷害性 T 細胞の体液性応答や細胞性免疫応答を考慮したウイルスモデルの安定性解析にも応用された.また,個体群動態および個体差がもたらす個体の成長速度を含む内的不確実性を考慮したモデルを提案し,個体の最適生活史スケジュール問題と群動態理論を統合した.
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