研究課題/領域番号 |
26800072
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研究機関 | 城西大学 |
研究代表者 |
廣惠 一希 城西大学, 理学部, 助教 (50648300)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 微分方程式の不確定特異点 / Stokes現象 / モノドロミー保存変形 / 箙多様体 / Kac-Moody Lie環 / 代数曲線の特異点 |
研究実績の概要 |
Riemann面上の代数的な微分方程式の大域解析学に対しKac-Moody Lie代数の表現論や箙多様体の幾何学を援用した研究を行っており、現在までに特異点が高々不分岐な不確定特異点の場合に、Euler変換が方程式に引き起こす変換とKac-Moodyルート系へのWeyl群作用の対応、微分方程式のモジュライ空間と箙多様体の対応を明らかにした。応用としてモノドロミー保存変形が箙多様体の上の力学系として定式化され、Euler変換とモノドロミー保存変形の整合性から力学系のWeyl群作用も自然に構成できる。 これらを一般の特異性をもつ微分方程式に拡張するために今年度は特に微分方程式の分岐不確定特異点の研究を行った。具体的には局所的な微分方程式に平面代数曲線の芽を対応させ、特異点の不変量、変換、そして位相的性質の対比を行った。即ち、微分方程式の局所的なモジュライ(同じ形式解を持つ解析的な微分方程式の同値類)の次元を表す小松-Malgrangeの不確定度と平面曲線のMilnor束やJacobi環の次元など幾何学的不変量を表すMilnor数を結ぶ公式を得た。さらに微分方程式の局所的なFourier-Laplace変換が平面曲線のBlow upを引き起こすことを示した。またStokes現象に関して以下を得た。特異点の周りを一周する際に偏角によって形式解の増大度が入れ替わることがStokes現象の主要因である。一方で既約平面曲線は特異点の周辺で結び目を描く。この結び目を組紐群の元として実現し組紐群からの射影で得られる対称群の元が形式解の入れ替え関係を記述することを示した。 微分方程式の分岐特異点が平面代数曲線の特異点という豊かな世界と結びついたことで研究の新たな方向性を見出した。特に微分方程式の特異点の合流理論などは曲線の特異点の変形理論に対応すると期待でき今後の大きな発展が予想される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高々不分岐な不確定特異点を許した微分方程式の新しいが新しい理論がKac-Moody Lie環の表現論、箙多様体の幾何学、モノドロミー保存変形への応用等と互い関連しながら進んでいく中で、分岐不確定特異点の理解の重要性が増して来ていたが、今回の研究で微分方程式の分岐不確定特異点と平面曲線の特異点論を結びつけることで分岐不確定特異点の研究の新しい方向への突破口を切り開くことが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
微分方程式の特異点の合流操作は古典的に重要な操作として特殊関数論では広く用いられて来た。これを微分方程式の特異点と曲線の特異点の対応を用いて、曲線の特異点の変形理論の枠組みで理解する。即ち微分方程式の特異点の無限小変形の空間と変形の障害の空間の決定、特異点の変形の中で小松-Malgrangeの不確定度等の不変量を変えない変形の特徴づけとその存在のための必要十分条件の決定、分岐特異点が不分岐な特異点に変形できるための条件の決定を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
申請当初助成金を拠出する予定であった旅費のうち数件が訪問先で負担となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
研究発表、研究資料収集のための国内、海外の研究会出席のための旅費、共同研究者との研究打ち合わせのための研究施設出張旅費、研究関連書籍の購入費として使用する。
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