不確定特異点を持つ局所的な微分方程式のStokes構造と結び目の構造との関係についての研究を行い以下のような成果を得た。リーマン球面上に一点のみ分岐不確定特異点をもつ微分方程式のLaplace変換のStokes構造を考える。特に局所形式的な規約既約性を仮定して解のLaplace積分の漸近解析を鞍点法に基づいて行う。そこではexponential関数の相関数の臨界点、臨界値の解析接続での軌跡がStokes現象を記述する。本年度はこの臨界点と臨界値の軌跡が微分方程式から決まる代数曲線(スペトル曲線)の特異点近傍での結び目構造から決定されることを示した。具体的には臨界点の軌跡が代数曲線の特異点の結び目とと同型となり、臨界値は前の代数曲線のブローアップ後の特異点の結び目と同型となることを示した。さらに代数曲線の特異点の不変量であるMilnor数と微分方程式の不確定特異点の不変量である不確定度を結ぶ公式を得ることができ、さらにその大域化として微分方程式のコホモロジーと正規化スペクトル曲線のコホモロジーの比較定理を得た。
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