研究課題/領域番号 |
26800077
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
竹内 耕太 筑波大学, 数理物質系, 助教 (50722485)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | Ramsey class / Random graph / monochromatic subgraph |
研究実績の概要 |
今年度は新たな結果として、1.Fraisse classがRamsey classになるための十分条件として知られていたNesetril-Rodlの結果について、strong liftingという概念を定義することによって見通しの良い証明を与えなおしたこと、2.Ramsey propertyより強い性質として無限版のRamsey propertyを考え、n-partite Random graphのedge coloringについてこの性質を証明したこと、の二つがあげられる。 1については、Nesetril-Rodlのオリジナルの証明に対して、より見通しの良い証明が望まれていたが、部分的にはSoleckiによって2012年に一つの証明が与えられていた。今回、フルの主張に対して、今までに知られていたpartite constructionとHales Jewett theorem,ならびにamalgamation constructionの組合せをより適切に用いることによって理解の容易な証明を与えることに成功した。この結果についてはRIMS workshopにて発表を行い、現在論文準備中である。 2については、1の別証明を考える際に有限構造を扱うのではなくFraisse limitを経由して無限構造に持ち上げて議論する方向性を考えるうちに結果を得ることができた。無限構造に対するStructural Ramsey theoryはほとんど議論が存在しないので、新しい研究テーマの提案にもなっており、今後の発展が期待される。この結果については論文にまとめ投稿済みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究のテーマでもある組合せ論のモデル理論への応用すには、どのような有限構造のクラスがRamsey propertyを持つか判断するための十分条件を得ることが必要である。これについてはNesetrilとRodlの結果が有名であったが、その証明にはギャップがあるのではないかという指摘も存在した。今年度の研究によって、彼らの結果が正しいことを確認し、証明の不明瞭な部分を補うことができた。これによってモデル理論の研究に彼らの結果を自由に応用することが可能になった。また、無限版のRamsey propertyを提案し、structural Ramsey theoryの新しい方向性を指し示すことに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
モデル理論におけるstability classのRamsey classを用いた特徴づけについて、去年L.Scowらによる新しい結果が発表された。これは研究者が行う予定であった研究の内容と一部被っているものであるが、この結果を明細に分析すると共に、他のstability classについても同様の結果を得ることを目指す。また当初の予定通り、Ramsey classを用いて特徴づけ可能であるということを出発点としてstability theoryにおいて共通して繰り返されてきた議論、類似の結果を一般化できる可能性について詳しく調べる。 また、今年度の研究で提案した無限構造のRamsey propertyについても、edge coloringだけでなく一般的なcoloringについての証明を与えたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
電子機器を購入する予定であったが、予定していたスペックの物品が適切な時期に購入できなかったため、次年度に持ち越した。また、海外の研究者の元に訪問する予定であったが延期になったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
論文作成等の作業用PCの買い替えに使用する。また予定していた出張旅費に使用して研究打ち合わせを行う。
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