研究実績の概要 |
本研究の土台となる平成26年度の研究を踏まえて、より応用を意識した研究目的「高次元判別分析の最適性指標の構築」に取り組み、母集団間の距離を2次モーメントまでの特徴量で捉えた高次元判別分析法を提案し、その最適性を論じた。さらに、研究目的「高次元パスウェイ解析の新たな推測理論の構築」にも取り組み、高精度な推定・検定法を構築した。 Aoshima and Yata (2011,SA)で提案した幾何学的表現に基づく2群判別を多群に拡張し、誤判別確率に関して精度を保証するための判別アルゴリズムを構築した。さらに、高次元判別方式における漸近正規性を導出することで、最適性に関する理論を構築した。その結果、従来のマハラノビス距離に基づく最適性理論が高次元の枠組みで崩壊することを示した。 一方で、Yata and Aoshima (2013,JMA)で提案した拡張クロスデータ行列法を相関行列の推測に適用することで、高次元パスウェイ解析における推定・検定方式を構築し、高速で頑健かつ高精度なパスウェイ解析を可能にした。実解析例において、提案手法が有効に機能することも確認できた。さらに、研究目的「高次元漸近理論の理論的体系の構築」も推進し、高次元潜在構造の推定問題において、高次元小標本と高次元大標本の両方を包含する高次元漸近理論を構築した。その理論に基づき、Yata and Aoshima (2012,JMA)で提案したノイズ掃き出し法を構造の推測に応用することで、高精度な高次元潜在構造の推定法を提案した。
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