本年度は、非線形放物型偏微分方程式及び線形確率偏微分方程式に対するメッシュ・フリー選点法の適用に有用な基底関数のクラスとグリッドについて、数値的・理論的両方の観点から研究を行った。この目的のため、動径基底関数による補間理論について研究を進め、連続関数の空間でみた場合の補間関数の作用素ノルムが誤差評価において重要な役割を果たすことを明らかにした。このノルムは多項式補間理論におけるルベーグ定数の類似物であり、この場合と同様に、補間点数を大きくするとき当該作用素ノルムは発散することが知られている。これに対して本研究では、補間領域を無限に大きくするときには、補間関数のクラスとグリッド構造及び補間点数を適当にとることにより、当該作用素ノルムが有界に押さえられることを厳密に証明した。この結果により、全空間で定義されている放物型偏微分方程式と線形確率微分方程式に対し、収束が厳密に保証される動径基底関数のクラスとグリッド構造及び補間点数の取り方を明らかにした。また、これらのことを数値実験においても確認した。
メッシュ・フリー選点法の実装の容易さ、計算負荷の低さ、多次元問題への適用可能性については既知であり、それに加えて以上の成果により、多次元の有限期間確率制御問題及び拡散過程のフィルタリング問題に対し、相対的に高速で計算可能かつ厳密に収束が保証される数値解法の開発に成功したことになる。これらの成果を現在2編の論文として取り纏め中である。
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