研究課題/領域番号 |
26800080
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
齋藤 保久 島根大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (30402241)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 生物の移動 / 漸近安定化 |
研究実績の概要 |
数理生態学において中心的な役割を担うLotka-Volterra微分方程式とRosenzweig-MacArthur微分方程式が有する、現象とのギャップ(生態学的不安定性)が、「生物の異動」と「環境変動」によってどのように解消されるかを力量のある数学で明らかにしていくという本研究課題について、研究期間の次年度は、初年度での成果の拡張を試みつつ、May-Anderson微分方程式における生物の移動の効果の研究も行った。May-Anderson微分方程式は、宿主と寄生者の相互作用を表現した2元連立非線形常微分方程式であり、Lotka-Volterra方程式とは別物だが、有する解構造は同質なモデルである。May-Anderson微分方程式モデルの研究で得た成果は、外的捕食者に宿主が捕食されることで促される寄生者の移動を考慮すると、系を漸近安定化する場合もあれば、不安定化する場合もあるというものである。同様なことを、解構造が同質なLotka-Volterra微分方程式に施せば系は必ず漸近安定化するという事実を踏まえると、解構造が同質にもかかわらず、両モデルにおいて生物の移動が及ぼす効果に相違がみられた点は数学的にも生態学的にも大変興味深い。May-Anderson微分方程式における生物の移動の効果に関する研究もLotka-Volterra方程式に対する生物の移動の効果の理解を深めるものと考えている。これのさらなる研究と、滞っている「環境変動」についての成果を最終年度の研究課題としたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
依然として「環境変動」についての研究が滞っているからである。また、解構造がLotka-Volterra方程式とほぼ同一のMay-Anderson方程式に対する生物の移動の効果に関する示唆を得たことで、Lotka-Volterra方程式における生物の移動の効果について当初とは違った角度からの成果を得たが、それに多くの時間がかかってしまったことも理由として考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
「環境変動」について滞っている研究状況を突破する。そして、May-Anderson方程式に対する生物の移動の効果に関する成果もふまえて、Lotka-Volterra方程式における生物の移動の効果について研究を深める。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究課題遂行のための国内旅費は予定通りに近い形で使用できたが、外国旅費を使う機会が作れなかったためと思われる。
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次年度使用額の使用計画 |
本研究課題遂行のため、外国旅費を積極的に使用して行くつもりである。
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