研究実績の概要 |
2つのファイバー絡み目の間のバンド手術が、オイラー標数の差が1のとき、一般化ホップバンディングであることを示した。また、2つのファイバー絡み目の間の交差交換についてもオイラー標数が等しいときの特徴づけを行った。さらに、応用として(2,p)トーラス絡み目T(2,p)から(2,p-1)トーラス絡み目T(2,p-1)へのバンド手術が一意的であることを、一般化ホップバンディングを決定することで示した。この成果は数学専門誌に発表したが、生物学への応用もある。DNAの組み換え酵素XerがT(2,p)の形をしたDNAの絡み目解消を行うことが知られているが、段階的にT(2,p),T(2,p-1),,...,T(2,3),T(2,2),T(2,1),T(2,0)と解いているのではないかと推測される。この各ステップでのXerの作用をバンド手術でモデル化すると、Xerの働きを特徴づけることができる。また、数学においても多様体のデーン手術やオープンブック分解などの研究への応用が期待される。DNAの組み換え酵素Xerの絡み目解消については、もう一つ別の角度から研究を行ってきた。既に、絡み目解消の最短経路が一意的であることが、各ステップで絡み目の交点数が減るという条件のもとで示されている。この条件を緩め、各ステップで絡み目の交点数が増えないとし、T(2,6)を起点とした場合の最短経路を全て決定しまとめた。また、(2×1)チューブ内の格子結び目について、結び目解消操作が絡み目によらない有限領域で行えることを用い、指数関数的増加率が自明な結び目と一致することを得ている。
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