本研究課題期間全体を通して、球面デザイン及びそれに関連する組合せ構造の研究を行った。 2014年度ではユークリッド空間におけるエネルギー最小化構造の候補としてのUOCの定式化の研究を行い、有限点集合の全体のモーメント一定という条件の下、多くのポテンシャル関数に対して、エネルギー最小構造を与えるプログラムを作成した。UOCの探索シミュレーションは球面版ではなされていたが、ユークリッド版ではなされておらず、このプログラムにより、ユークリッド空間でもUOCの幾何構造の解析ができるようになった。 2015年度では東京大学の藤田誠氏、藤田大士氏らによる「セレノフェン配位子を用いた巨大MnL2n錯体の自己集合」の研究において得られたunexpected 構造がGoldberg-Coxeter construction(GCC)を正八面体に適応して得られる構造の類になっていることを藤田大士氏との議論により分かった。また、結合された頂点間が等距離という条件の下、正八面体にGCCを適応して球面上に実現できるものの球面デザイン的特徴づけを行った。 2016年度では離散空間上の有限点配置のエネルギー最小化構造の候補としてのデザイン理論的観点から、調和指数球面デザインのハミングスキーム版、すなわちハミングスキーム版調和指数デザインの研究を行った。調和指数デザインに対して、Fisher型不等式、線形計画限界式、及び素数個数の文字上のハミングスキームに対する調和指数デザインの組合せ構造の特徴づけを行った(田上研究室の堀亮太氏との共同研究)。現在まで、調和指数デザイン(通常のデザインとして以外)具体的構成は全く与えられていなかったが、調和指数デザインの組合せ構造の特徴づけは具体的構成を考察する上で、大変有用な情報を含んでおり、調和指数デザインの研究のさらなる発展に大いに役立つと考える。
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