研究実績の概要 |
1.平成27年度の研究実績として報告した“二部グラフ上の指定した完全マッチングを通る2-因子に対する次数和条件”を非隣接2頂点次数和条件型に改良することに成功した。特に、 (1)“二部グラフ上の完全マッチングを通る点素な閉路に対する次数条件”と“有向グラフ上の点素な有向閉路に対する次数条件”の関係性を明らかにすることができたので、本研究課題を有向グラフ上へ拡張させる有効的な手段の一つを得ることに成功した。また、 (2)平成27年度までの研究成果と合わせることで、有向グラフ上の(k個の)点素な有向閉路に対する次数条件に関する問題を、1個や2個などの閉路の数が少ない場合に帰着させることができることも分かった。 以上のことから、本研究成果は、当初の研究目的・研究実施計画の枠を超えて、点素部分グラフ問題に対する新たな知見を見出したといえる。
2.閉路以外の特定のグラフの考察として、点素な星グラフの存在性に対する次数条件に関する問題に取り組み、星グラフと完全グラフのRamsey数を利用することで、2008年のFujita予想(Discrete Math. Vol.308, pp.1628-1633, 2008)を部分的に解決することに成功した。また、その研究成果をまとめた論文が学術雑誌(Discrete Math. Vol.340, pp.649-654, 2017)に掲載されることが決まった。一方で、星グラフを誘導部分グラフとして禁止したグラフの構造的特徴について考察を行い、異なる禁止部分グラフ条件の“差”について新たな知見を見出した。
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