研究課題/領域番号 |
26800086
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
古谷 倫貴 東京理科大学, 理学部, 助教 (40711792)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | グラフ理論 / 支配数 / Vizing予想 / 多彩支配数 / Nordhaus-Gaddum型不等式 |
研究実績の概要 |
27年度は,26年度に行った研究の続きとして,多彩支配数に関する問題を中心に研究を行った.多彩支配数は本研究の最終目標であるVizing予想の解決に役立つ不変量として知られいる.一方で多彩支配数の研究自体は,定義上の扱いにくさから研究があまり進んでいなかった.26年度は多彩支配数と他の概念との比較に着目して研究を進めていたが,27年度は多彩支配数自体に着目し,多彩支配数が持つ扱いにくさを解消するために,いくつかのアプローチ方法を提案した.その各々のアプローチ方法について結果を得ることができた.具体的には以下の内容について研究を行った. 1. 多彩支配数が頂点数と等しくなるための良い十分条件として,グラフの最大次数を用いた最善な不等式を与えた.これは既に知られている結果を大幅に改良するものである.その結果の応用として,Nordhaus-Gaddum型不等式に特殊な性質を与えるなどといった重要な副産物も得られた. 2. 多彩支配数に独立性を追加で仮定することによって,これまでに差が見られなかった2つの状況に対して,明確な差を見出すことができた. 3. 多彩支配数が変化するための辺の追加という操作について研究を行い,一見すると比較できない状況下において,潜在的な差を見つけ出した. これらの結果は多彩支配数を用いてVizing予想に取り組むときに大きな道具として使えるものであると考えている. 以上が27年度に得られた結果である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
26年度に得られた成果を基に多彩支配数の研究を深く行ったが,想定していた以上に重要な結果が得られた.当初の研究予定ではVizing予想の解決に向けて縮約臨界的グラフを中心に研究を進める予定であったが,本研究によって多彩支配数を用いたアプローチも現実的になったと考えられる.これは28年度以降の研究手法に選択肢を増やしたと言えるため,研究はおおむね順調に進んでいると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
既に述べた通り,27年度の研究成果によって研究の方針に選択肢が増えたため,どのようなアプローチ方法をとるかを慎重に選ぶ必要が出てきた.28年度は引き続き縮約臨界性の研究を進めながら,並行して多彩支配数のより精密な研究を行い,より良い研究方針を探っていく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
27年度は当初の予定よりも研究集会へ参加する日数が少なくなったため.
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次年度使用額の使用計画 |
28年度は共同研究も含め,広島などへの出張が新たに計画に入った.したがって,助成金はその執行に使用する予定である.
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