研究課題/領域番号 |
26800089
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
及川 一誠 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (10637466)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 不連続Galerkin法 / ハイブリッド法 / 有限要素法 |
研究実績の概要 |
本年度は,ハイブリッド型不連続Galerkin(HDG=Hybridized Discontinuous Galerkin)法の弱安定化法に関する研究を行った.弱安定化HDGスキームは,従来のHDG法で用いられていた安定化項に対して,一つ下の次数の多項式空間に$L^2$射影を施すことにより得られる.その結果,未知数を減らすことができ,計算コストが減らせるのが利点である.まず,Poisson方程式について,弱安定化スキームの誤差解析を行った.その結果,近似解がエネルギーノルム及び$L^2$ノルムについて,最善オーダーで収束することを証明できた.数値実験により,従来のHDG法と同程度の精度の近似解を,より少ない計算コストで得られることを実証した.さらに,弱安定化スキームのある特殊な場合と,Crouzeix-Raviartの非適合有限要素法とがほとんど一致することを明らかにした. 同様のアイデアに基づいて,Stokes方程式に対する弱安定化スキームの研究を行った.Poisson方程式の場合の誤差解析法と,infsup条件に関するEgger-Walugaによる結果とを組み合わせることにより,流速と圧力の両方について,最善次数の誤差評価を示すことができた.Poisson方程式の場合と同様に,提案手法の特殊な場合とCrouzeix-Raviart非適合有限要素法との関連性についても示すことができた.さらに,より一般的な場合について,安定化パラメータ$\tau$を無限大に飛ばしたとき,近似解がGauss-Legendre非適合有限要素解に収束することも証明できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
Poisson方程式およびStokes方程式に対して,ハイブリッド型不連続Galerkin法の弱安定化スキームの数学理論の基盤を確立できた.さらに,非適合有限要素法との関連性についても,解明することができ,当初の予定を越える結果を得られた.
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今後の研究の推進方策 |
ハイブリッド型不連続Galerkin法の弱安定化スキームの研究を継続して行う.Poisson方程式やStokes方程式などの,移流項を含まない拡散問題の場合は十分になされたので,その結果を発展させ,移流問題の場合の研究に着手する. 同時に,安定化パラメータ$\tau$に関する近似解の挙動を理論的に調べる予定である.特に,$\tau$を無限大に飛ばしたときの極限について詳細に検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費の使用額は予定通りであったが,旅費及びその他の当該年度使用額が,当初の予定額を下回ったため,次年度使用額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
旅費及び図書の購入,計算機端末の購入に充当する予定である.
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