本研究では,主にハイブリッド型不連続ガレルキン法(以下,HDG=Hybridized Discontinuous Galerkin法)の次数低減手法について研究を行った.この手法を,次数低減HDG法と呼ぶ.次数低減HDG法とは,簡単に言えば,従来手法の安定化項にL2直交射影を施して得られる手法である.次数低減HDG法は,従来手法と同じ未知数の個数で,収束次数を1つあげることができるという明確な利点をもつ. 初年度と2年目では,Poisson方程式およびStokes方程式について,次数低減HDG法の提案及び,誤差解析等の数学解析を行った.chunkiness conditionという領域分割に関する幾何学的条件下(多角形および多面体形状も許容する)において,全ての未知量に関して,最善次数で収束することを数学的に証明した.数値実験により,理論的結果の正当性も確認した.さらに,提案手法とGauss-Legendre非適合有限要素法との関連性も新たに発見した.これらの結果は,2編の論文にまとめられ,それぞれ査読付き論文として出版された.最終年度は,混合法的定式化に対する次数低減HDG法の研究を行った.Poisson方程式に対して,新たな手法の導出に成功し,数値実験により,有効性も確認できた.数学解析については,次なる課題として残った. 次数低減HDG法のアイデアと経験を活かし,滑らかな境界に対する滑り境界条件のペナルティ法についても,共同研究として行った.Stokes方程式及びNavier-Stokes方程式に対し,滑り境界条件のペナルティ法の連続問題の解と有限要素解の両方について,収束性を数学的に厳密に示した.
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