研究課題/領域番号 |
26800091
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
野津 裕史 早稲田大学, 高等研究所, 准教授 (00588783)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 非ニュートン流体 / 特性曲線法 / 安定性 / 収束性 / 誤差評価 |
研究実績の概要 |
昨年度の非ニュートン流体のモデルのひとつである Peterlin モデルに取り組みました.同モデルは,流速・圧力・配座テンソルを未知数とするモデルで,流体の粘性的性質と弾性的な性質を併せ持っています.よく知られた Oldroyd-B モデルにはない非線形項を含んでいます.昨年度の成果を基に,Oseen 型 Peterlin モデルを考えて,特性曲線法を用いた安定化有限要素スキームを2つ提案しました.一方は線形なスキーム,他方は非線形なスキームです.ともに P1/P1/P1 要素(流速・圧力・配座テンソルをすべて区分的1次関数で近似)を用いており,自由度が少なく,計算が比較的容易です.両スキームに対して,最良の誤差評価の結果を得ました.線形スキームについては,ある弱い条件の下での安定性と収束性を示しました.この評価は3次元にも適用できます.非線形スキームについては,(本質的)無条件に解の存在,安定性,収束性を示し,ある弱い条件の下で,解の一意性を示しました.この評価は,2次元特有の等式を用いて得られており,3次元への拡張には工夫が必要です.一方で,配座テンソルの方程式から拡散項を消去しても評価は成立します.(現時点では,線形スキームの誤差評価の証明には本質的に拡散項の存在を利用しています.)両スキームのプログラムを2次元において実装しました.数値計算においても理論結果で得られた収束オーダーが確認されました.これにより,非ニュートン流体のモデルのひとつである Peterlin モデルに有用な数値計算スキームの構築に向けた重要な結果を示すことができました.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
期待した以上の結果が得られているため.
|
今後の研究の推進方策 |
理論面と工学面の両面での発展を期すために講演・打ち合せ等を行って各方面でのネットワークを構築します.
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究を強力に推進するために各種学会に参加してネットワークを構築するとともにコメント等を得るために出張旅費が必要でした.
|
次年度使用額の使用計画 |
目処はたったので,今後の旅費を少し節約して出費を抑え,その他は予定通りに研究を推進します.
|