弱い重力レンズ効果による銀河団サブハローの質量関数と統計的性質の解明

2016 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 26800097
• 研究機関: 広島大学
• 研究代表者: 岡部 信広 広島大学, 理学研究科, 助教 (00436073)
• 研究期間 (年度): 2014-04-01 – 2017-03-31
• キーワード: 光赤外天文学 / 弱い重力レンズ効果 / 銀河団 / 暗黒物質 / 宇宙論 / X線天文学

研究実績の概要

すばる望遠鏡を用いた銀河団及び銀河団サブハローの弱い重力レンズ解析は当該分野において重要な研究テーマである。最終年度及び３年間の採択期間で発表した研究成果のハイライトは以下の通りである。１）赤方偏移0.15<z<0.3での５０個の銀河団の系統的弱い重力レンズ解析によって、質量と質量集中度が標準的宇宙論パラメーターに基づく階層的構造形成理論と一致していることを世界で初めて確認した。２）同５０個のサンプルに対して、静水圧平衡質量と力学状態の仮定によらない弱い重力レンズ質量を比較し、オーバーデンシティーΔ＝500での静水圧平衡質量が弱い重力レンズ質量の0.95±0.05程度であることが分かった。３）銀河団サブハローのX線観測を行い。弱い重力レンズによって発見されたダークサブハローの付随したX線ガスを発見し、それが動圧を受けていることを発見した。４）銀河の星の動力学と弱い重力レンズ効果のジョイント解析を行い、銀河団中心にある巨大な楕円銀河のダークサブハローが、星が見えている領域よりも広がっていることを確認し、銀河から銀河団スケールまでの３桁に渡る広い領域で質量構造を明らかにした。５）弱い重力レンズ質量とすざくX線解析をセルフコンシステントに解析することによって、銀河団外縁部ガスのエントロピー低下が急激な温度低下によるものであることを明らかにした。６）衝突銀河団での質量比が大きいサブハローについて質量とその分布を明らかにした。その結果、電波レリックと呼ばれる巨大なシンクロトロン放射領域が質量分布をトレースしていることが分かった。７）ハイパーシュプリームカムのデータを使ってペルセウス銀河団の質量分布を測定した。X線データを組み合わせることによって、銀河団中心部から外縁部までのガスの状態を明らかにした。本研究結果については現在論文を執筆中である。

研究成果

• [国際共同研究] University of Birmingham(英国)
  • 国名: 英国
  • 外国機関名: University of Birmingham
• [国際共同研究] Degli studi di Roma Tor Vergata(Italy)
  • 国名: イタリア
  • 外国機関名: Degli studi di Roma Tor Vergata
• [国際共同研究] Univ. of Arizona(米国)
  • 国名: 米国
  • 外国機関名: Univ. of Arizona
• [国際共同研究] ASIAA(Tiawan)
  • 国名: その他の国・地域
  • 外国機関名: ASIAA
• [国際共同研究] Univ. of Bonn(Germany)
  • 国名: ドイツ
  • 外国機関名: Univ. of Bonn
• [国際共同研究]
  • 他の国数: 5
• [雑誌論文] LoCuSS: Weak-lensing mass calibration of galaxy clusters (2016)
  • 著者名/発表者名: Nobuhiro Okabe and Graham P. Smith
  • 雑誌名: Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 巻: 461 ページ: 3794-3821
  • DOI: 10.1093/mnras/stw1539
  • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] LoCuSS: exploring the selection of faint blue background galaxies for cluster weak-lensing (2016)
  • 著者名/発表者名: Ziparo, Felicia; Smith, Graham P.; Okabe, Nobuhiro; Haines, Chris P.; Pereira, Maria J.; Egami, Eiichi
  • 雑誌名: Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 巻: 463 ページ: 4004-4018
  • DOI: 10.1093/mnras/stw2192
  • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] X-ray observations of a subhalo associated with the NGC 4839 group infalling toward the Coma cluster (2016)
  • 著者名/発表者名: Sasaki, Toru; Matsushita, Kyoko; Sato, Kosuke; Okabe, Nobuhiro
  • 雑誌名: Publication: Publications of the Astronomical Society of Japan 巻: 68 ページ: id.85 15 pp.
  • DOI: 10.1093/pasj/psw078
  • 査読あり / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] BUDHIES - III: the fate of H I and the quenching of galaxies in evolving environments (2016)
  • 著者名/発表者名: Jaffe, Yara L.; Verheijen, Marc A. W.; Haines, Chris P.; Yoon, Hyein; Cybulski, Ryan; Montero-Castano, Maria; Smith, Rory; Chung, Aeree; Deshev, Boris Z.; Fernandez, Ximena; van Gorkom, Jacqueline; Poggianti, Bianca M.; Yun, Min S.; Finoguenov, Alexis; Smith, Graham P.; Okabe, Nobuhiro
  • 雑誌名: Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 巻: 461 ページ: 1202-1221
  • DOI: 10.1093/mnras/stw984
  • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
• [学会発表] Subaru/HSCサーベイ領域にある重量級銀河団のX線観測による質量推定 II (2017)
  • 著者名/発表者名: 宮岡敬太、岡部信広、北口貴雄、深沢泰司 、大栗真宗、HSC Cluster Members
  • 学会等名: 日本天文学会 2017年 春季年会
  • 発表場所: 九州大学、日本
  • 年月日: 2017-03-15 – 2017-03-15
• [学会発表] NECSUS : Subaru/HSC Weak-lensing Analysis of Very Nearby Galaxy Clusters (2016)
  • 著者名/発表者名: Nobuhiro Okabe
  • 学会等名: The 6th Subaru International Conference, "Panoramas of the Evolving Cosmos"
  • 発表場所: Hiroshima, Japan
  • 年月日: 2016-11-28 – 2016-12-02
  • 国際学会
• [学会発表] X-ray mass measurement of massive galaxy clusters in the HSC SSP survey region (2016)
  • 著者名/発表者名: Keita Miyaoka, Nobuhiro Okabe, Takao Kitaguchi, Yasushi Fukazawa, Masamune Oguri and HSC Cluster members
  • 学会等名: The 6th Subaru International Conference, "Panoramas of the Evolving Cosmos"
  • 発表場所: Hiroshima, Japan
  • 年月日: 2016-11-28 – 2016-12-02
  • 国際学会
• [学会発表] LoCuSS & NECSUS : Cluster Weak-lensing Studies (2016)
  • 著者名/発表者名: 岡部信広
  • 学会等名: 第５回観測的宇宙論ワークショップ
  • 発表場所: 広島大学、日本
  • 年月日: 2016-11-24 – 2016-11-26
  • 招待講演
• [学会発表] LoCuSS: Weak-lensing mass calibration of galaxy clusters (2016)
  • 著者名/発表者名: 岡部信広 & G.P. Smith
  • 学会等名: 日本天文学会 2016年 秋季年会
  • 発表場所: 愛媛大学、日本
  • 年月日: 2016-09-14 – 2016-09-16
• [学会発表] Subaru/HSCサーベイ領域にある重量級銀河団のX線観測による質量推定 (2016)
  • 著者名/発表者名: 宮岡敬太、岡部信広、北口貴雄、深沢泰司 、大栗真宗、HSC Cluster Members
  • 学会等名: 日本天文学会 2016年 秋季年会
  • 発表場所: 愛媛大学、日本
  • 年月日: 2016-09-14 – 2016-09-16
• [学会発表] Joint X-ray and Subaru/HSC Weak-lensing Analysis of Very Nearby Galaxy Clusters (2016)
  • 著者名/発表者名: Nobuhiro Okabe
  • 学会等名: Hot spots in the XMM sky: Cosmology from X-ray to Radio
  • 発表場所: Mykonos Island, Greece
  • 年月日: 2016-06-15 – 2016-06-18
  • 国際学会
• [備考] Nobuhiro Okabe's Homepage
  • URL: http://theo.phys.sci.hiroshima-u.ac.jp/~okabe/