研究課題/領域番号 |
26800099
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
馬場 淳一 東京工業大学, 地球生命研究所, 産学官連携研究員 (90569914)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 銀河形成 / 大規模シミュレーション / 非平衡化学反応 / 遠方銀河観測 / 次世代観測 / 国際情報交換 |
研究実績の概要 |
本研究は高精度高分解能N体/流体シミュレーションコードに,星間ガスの水素,ヘリウム,炭素,酸素などの 主要元素の電離・再結合・分子生成・解離などの詳細な 非平衡化学反応と,それに伴う加熱・冷却過程の組み込 みを行い,素過程に基づき電離ガス/原子ガス/分子ガス といった星間ガスの熱相を再現することで,近傍および初期銀河の星間ガスの熱的・運動学的性質を理論的に明らかにし,次世代観測への予言を与えることが目的である.
本年度は,コードの開発およびそのコードを用いたシミュレーションの実行を行った.モデルは近傍および初期銀河のそれぞれを想定して,ガス量を変えたものを用意した.その結果,近傍銀河の星間ガス構造の観測をよく再現することができた.同様に,初期銀河も近年の観測のようにクランピーな構造を示した.また,シミュレーションと観測の比較を行うことを目的とした共同研究を開始した.
これらの成果は,2014年7月にオーストリアのウィーンで開催された国際天文学連合シンポジウム,および12月に東京で開催されたALMA 3rd year国際シンポジウムにおいて発表を行った.現在,これらの成果を投稿論文としてまとめている段階にある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定どおり,開発したシミュレーションコードを利用して,初期銀河を想定したモデルの大規模シミュレーションを行い,その解析および国際研究会での成果の報告を行っている.また,観測との比較を目的として,観測研究者との共同研究を進めている.これらの成果を投稿論文としてまとめている段階にある.
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今後の研究の推進方策 |
まずは,初年度に得られた成果を投稿論文としてまとめ,引き続き国内外の研究会で成果発表を行う. 初年度のモデルは孤立銀河を想定していたが,予想通り,そのような状況設定では,初期銀河の観測的性質を再現できないこともわかった.特に,初期銀河の電離ガスの観測は,非常に大きな速度分散を示すのに対して,本研究のモデルではそれを十分に再現できていない.これは,銀河間ガスの激しい降着などの外的要因が重要であることを示唆している.今後はこの外的要因の効果をモデルに考慮したシミュレーションを行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究打ち合わせとしての国立天文台野辺山宇宙電波観測所への出張の予定が変更になったため.
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次年度使用額の使用計画 |
本年度の研究成果報告として,論文投稿料または学会発表のための出張費として使用する.
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