研究課題
平成29年度も、理論・観測の両面から、原始惑星系円盤の描像を探っていく研究を継続して行った。まず、観測的な研究の成果として、ALMA望遠鏡による高解像度観測の解析が進展したことを挙げたい。まず、V1247 Ori の周囲の円盤にリング状の構造と三日月状の構造が存在していることが見出された。これらは、これまでの観測では全く見えていなかった構造である。この構造は、円盤における力学過程が関係していることを強く示唆する構造であり、例えば、円盤中に存在する惑星が作るギャップや渦の構造に関連している可能性がある。また、AB Aur の周囲の円盤には、中心星のすぐ近くに、ガスで明るい点とスパイラル状の構造が見いだされた。これらも、円盤中に存在する惑星の影響を伺わせるものであり、また、衛星系のもとになる周惑星系円盤との関係という点からも興味深い観測である。他にも、HL Tau 周囲の円盤の偏光観測や、HD 142527 周囲のダスト分布に関するより詳細なモデル作成などの研究に関わった。また、理論的な研究としては、ダスト・ガスの二流体の効果に関する研究が進んだ。原始惑星系円盤の粘性進化において、ダストからガスへの反作用の効果を考えると、ダストがガスを「せき止める」領域が現れ、ダスト優勢となるような領域が現れる可能性があるということがわかった。これは、原始惑星系円盤の長時間進化において考慮されていなかった効果である。観測的にも、ダストの構造から原始惑星系円盤の状態を探る際に考慮すべき効果を提示したという点で意義のある成果である。
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すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 7件、 査読あり 7件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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