研究課題
赤外線天文衛星「あかり」の中間赤外線全天サーベイに基づく点源カタログから同定された高温デブリ円盤について、すばる望遠鏡による中間赤外線観測プログラムが採択され、観測を行った。良好なデータが取得され、一部の天体については解析が済んでおり、小さなサイズのダストに由来するフィーチャーがスペクトル中に見られる天体が複数確認されている。得られたスペクトルデータに基づいて、デブリダストの鉱物学的な性質の吟味とその起源について議論を進めている。さらにヨーロッパの電波干渉計PdBIおよび東アジア天文台の電波望遠鏡JCMTによるミリ波・サブリミ波観測のプログラムも採択された。PdBIでの観測およびデータ解析は完了し、デブリダストの空間分布の検討に入っている。JCMTでの観測は平成27年度前半に計画されている。一方、新たなデブリ円盤候補天体探査については、利用するデータを「あかり」の遠赤外線全天サーベイに広げ、ヒッパルコスカタログとのマッチングに基づく赤外線超過の判定を行った。その結果、候補天体が複数見つかったため、今後、撮像データに基づく確認作業を進める予定である。WISE衛星の赤外線全天サーベイデータに基づくデブリ円盤探査については、利用するデータの整備を行った。さらに「あかり」とWISEの波長等の差異を考慮したマッチングおよび赤外線超過判定の基準を再検討し、確度の高い探査作業へ向けた準備を行った。
3: やや遅れている
「あかり」の中間赤外線全天サーベイデータから同定された高温デブリ円盤について、赤外線からミリ波・サブミリ波での追観測プログラムが相次いで採択され、データの取得は順調に進んでいると言える。ただし期待を超える数の追観測プログラムが採択され、観測の準備と実行、およびデータ解析作業に注力する必要が生じたため、本計画研究の主要課題の一つである新たなデブリ円盤候補天体探査に若干の遅れが生じている。またHerschel宇宙望遠鏡で取得されたデータの解析等は、海外の研究協力者の異動に伴い、平成27年度に実施することにした。
すばる望遠鏡、PdBI、JCMTで取得した追観測データは占有期間が限られているため、引き続き観測・解析作業に力を注ぐ予定である。新たなデブリ円盤候補天体探査については、平成26年度に済ませたデータの整備と手順の吟味に基づき、WISE 赤外線全天サーベイデータに基づく探査の推進を強化する。さらに過去の IRAS や MSX による中間赤外線全天サーベイデータ、および地上望遠鏡による追観測データを集約する事で、数年~数十年のタイムスケールでの赤外線光度時間変動の検出を試みる。中心星近傍に高温ダストがある天体ではダイナミカルなタイムスケールが短いため、何らかの突発現象が生じていれば変光が検出される事が期待される。その上で最終的にジャイアント・インパクト現象との関連が強く期待されるサンプルの絞り込みを展開するとともに、アルマ望遠鏡による将来の観測計画を綿密に立案する。
Herschel宇宙望遠鏡等で取得されたデータの解析等を海外の研究協力者の支援を受けて集中的に行う予定であったが、研究協力者の一人が研究機関を異動したことに伴い、平成27年度に実施することにした。これにより、データ解析における共同研究と研究打ち合わせのための旅費、およびそれに必要となる物品費として確保していた額を、次年度に使用することを決めた。
Herschel宇宙望遠鏡等で取得されたデータの解析等を海外の研究協力者の支援を受けて集中的に行うために、共同研究と研究打ち合わせのための旅費、およびそれに必要となる物品費として使用する。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)
The Astrophysical Journal
巻: TBD ページ: TBD
The Astronomical Journal
巻: 149 ページ: 97
10.1088/0004-6256/149/3/97