研究課題
系外惑星の精査は、惑星の誕生から進化、多様性、また究極的には地球外生命の兆候にも迫る、人類の宇宙観に関わる重要な研究テーマである。しかし、主星光と惑星光のコントラストが極めて大きいため、コロナグラフという特殊な光学系を開発する必要がある。申請者はこの重要課題にアプローチするため、高性能コロナグラフの研究開発を着実に推し進め、世界中で競争が展開される中、短期間のうちに顕著な成功を収めてきた。申請者は今後、これまでに行ってきたコロナグラフの原理検証実験を発展させ、実際の望遠鏡に搭載したいと構想している。申請者が研究開発を進めてきたバイナリ瞳マスクコロナグラフなら、実際の望遠鏡に搭載する際の難点を克服し、高コントラスト観測を実現できる可能性は大変高いと考えている。そこで2年間の研究期間における目標を、1)これまでに類例のない、コロナグラフの大敵である望遠鏡の瞳遮蔽の影響を回避したデザインかつ、広視野を実現する、より実際的なリング瞳マスクの実証実験、2) 惑星検出能力等のシミュレーション、とした。平成26年度では特に、バイナリ瞳マスクコロナグラフの一種である中心遮蔽対応型リングマスクを製作した。平成27年度の研究では、3種類の最適化された瞳遮蔽対応型コロナグラフマスクを用いて可視光原理実証実験を行い、系外惑星の赤外観測における要求を満たす高コントラストを実証した。また実際の望遠鏡に搭載する際にコントラスト性能を悪化させるマスクの傾けによる瞳遮蔽の影響などを考慮した星像シミュレーションを行い、実験結果と比較し評価した。これらの結果は、単体の研究成果として査読論文(Haze et al. 2015. PASJ)にまとめ、学会で発表した。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
Publications of the Astronomical Society of Japan
巻: Volume 67, Issue 2 ページ: id.2810 pp.
10.1093/pasj/psu161