研究課題/領域番号 |
26800116
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
丸藤 亜寿紗 東北大学, ニュートリノ科学研究センター, 教育研究支援者 (20704399)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ニュートリノ / 二重ベータ崩壊 / 液体シンチレータ / カムランド / 素粒子実験 |
研究実績の概要 |
本研究の最終目的はニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊事象の探索によりニュートリノの性質を明らかにする事である。申請者の所属するカムランド禅実験では、現在、約17立方メートルの液体シンチレータに、濃縮した二重ベータ崩壊核Xe-136、約350kgを溶かし実験を行っている。今年度発表されたpreliminaryな結果では、ニュートリノの有効質量に対し、140-280meVという世界最高感度の上限値を得ているが、逆階層構造(数十meV)まで切り込むには実験の更なる高感度化が求められており、エネルギー分解能の向上が必須となる。そこで、本研究では高発光液体シンチレータの開発に主眼をおき、研究を進めている。 液体シンチレータの候補としては、近年注目されているリニアアルキルベンゼンを採用した。発光量、透過率の測定から、不純物の除去が重要であり、その方法を検討している。リニアアルキルベンゼンは沸点が高いため、今までのカムランド実験で用いられていた蒸留法では、不純物は落とせるが、コストが高く、また時間がかかることが明らかになった。そこで、吸着剤を用いた純化方法を試し、効果があることを確かめた。また、透過率の測定では、測定誤差を小さくするため、より実機に近いサイズの装置の開発を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、エネルギー分解能の改善を目標として、液体シンチレータの開発を行っている。リニアアルキルベンゼンが有力であること、現実に見合った純化方法を見出した点から、今までの液体シンチレータ開発の経験が多いに役立っており、おおむね順調に進展したといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、液体シンチレータの純化方法を確立させ、より効率よく純化、評価が行えるようにする。また、キセノンを溶かした場合の基礎的パラメータ(溶解度、発光量、透過率)の確認や、長期安定性、発光時間特性等についても調べていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
既存の装置等をうまく利用することが出来たことと、大容量の液体シンチレータを使用しての様々な実験に至っていないことがあげられる。
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次年度使用額の使用計画 |
今後は、推進方策でも述べた様に、より実機に近づけた環境を作って実験を行っていく。また、キセノンを溶かした場合の液体シンチレータの評価が重要となるため、そちらにも多くの予算と時間を配分していく予定である。
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