研究実績の概要 |
【補助事業期間全体を通した研究成果】・従来の「局所ペンローズ不等式による手法」を、非軸対称摂動が扱えるように適用範囲を広げることを考えた。非軸対称摂動に関しても、ある特別な摂動(ある座標に関して単調増加関数で表せる摂動)を考えて、ブラックホール解のパラメーター領域(つまり、質量と角運動量を)を適切に制限すれば、同じように局所ペンローズ不等式が成立することを示した。・5次元のカルツァ・クラインブラックホール解であるDobiash-Maisonブラックホール解の重力摂動に対する安定性について議論した。村田・早田の手法を用いて、重力摂動の長波長のモードに関しては、安定であることを示した。・逆散乱法によって新しい非線形重力波を記述するソリトン解を導出し、その解の構造や非線形効果について調べた。特に、非線形重力波の重力ファラデイ効果や伝搬速度の時間遅延効果が起こることを明らかにした。【平成28年度の研究成果】Hawkingのトポロジー定理によると、4次元の定常時空では、ブラックホールの表面のトポロジー(形状)は、球面に限られる.しかし、5次元(以上)の高次元理論では、許されるブラックホールのトポロジーは球面一つだけではない.例えば、5次元理論へ一般化されたトポロジー定理は、球面 S3、リング形状 S1 × S2、レンズ空間 L(p,q) (p、q:互いに素な整数)の3つのトポロジーを許容する.高次元ブラックホールの安定性解析のさらなる一般化を試みるために、5次元最小超重力理論の厳密解として、L(n,1)型レンズ空間のトポロジーを持つ新しいブラックレンズ解を構成し、その物理的性質や解の安定性について議論した.
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