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2016 年度 実績報告書

CMB偏光観測のための高精度偏光キャリブレーションの研究

研究課題

研究課題/領域番号 26800125
研究機関大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構

研究代表者

西野 玄記  大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 特任助教 (80706804)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード宇宙マイクロ波背景放射 / インフレーション宇宙論 / 偏光
研究実績の概要

本研究の目的は、宇宙誕生初期にあったとされる急激な加速膨張(インフレーション)を宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の観測によって実証するために必要な偏光角度較正の高精度化・系統誤差の低減を実現するための較正手法を確立することである。インフレーションは原始重力波の存在を予言し、その痕跡をCMBの偏光成分のうちのBモードと呼ばれるパターンとして見つけることが、その決定的な検証になる。しかしながら、装置の偏光角度の理解を誤ると、桁違いに大きい別起源の信号を誤ってBモードと認識してしまうことになるため、偏光角度較正の高精度化が必須となる。
そこで本研究では、CMB実験で偏光較正に用いられる天体、かに星雲(Tau A)の偏光放射をより深く理解することで、来るべき超高感度CMB実験の高精度化に繋げることを目指した。平成28年度は以下の二つの研究を推進することでこの目的の達成に挑んだ。
一つ目の研究として、南米チリ・アタカマ砂漠で観測を進めているPOLARBEAR実験で取得したTau Aの偏光データを解析することにより、Tau Aの偏光放射を評価した。その結果はPOLARBEAR実験のBモード偏光測定の論文の一部として発表された。0.2 度の統計精度で Tau A の偏光角度を測定することができたが、一方で系統誤差が0.8 度程度と見積もられ、今後この系統誤差を低減することが次なる課題となる。
二つ目はTau A観測の多色化に向けた研究である。上述の結果は150GHz帯のみのもので、前景放射除去のためにも多周波数帯でのデータが重要である。そのために、Tau A観測を多色化するためのアップグレード実験の研究も行った。特に本研究では当初の計画に沿って、新たなデータ収集系の開発試験を進めた。試験は順調に進行し、来年度には複数周波数における、より精度の高いTau A観測が実現できる見込みである。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 国際共同研究 (6件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] University of California, Berkeley/University of California, San Diego/University of Colorado, Boulder(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      University of California, Berkeley/University of California, San Diego/University of Colorado, Boulder
    • 他の機関数
      7
  • [国際共同研究] McGill University/Dalhousie University(Canada)

    • 国名
      カナダ
    • 外国機関名
      McGill University/Dalhousie University
  • [国際共同研究] CNRS/ IN2P3(France)

    • 国名
      フランス
    • 外国機関名
      CNRS/ IN2P3
  • [国際共同研究] University of Oxford/Cardiff University/University of Sussex(United Kingdom)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      University of Oxford/Cardiff University/University of Sussex
    • 他の機関数
      1
  • [国際共同研究] SISSA/INFN(Italy)

    • 国名
      イタリア
    • 外国機関名
      SISSA/INFN
  • [国際共同研究]

    • 他の国数
      3
  • [学会発表] Results and Future Prospects from the POLARBEAR CMB Polarization Experiment2017

    • 著者名/発表者名
      Haruki Nishino
    • 学会等名
      2017 Asia-Pacific Regional IAU Meeting (APRIM 2017)
    • 発表場所
      Taipei (Taiwan)
    • 年月日
      2017-07-03 – 2017-07-07
    • 国際学会
  • [学会発表] POLARBEAR-2統合試験に向けた検出器読み出し・データ収集系の構築2017

    • 著者名/発表者名
      西野玄記, 秋葉祥希, 井上優貴, 片山伸彦, 金子大輔, 鈴木有春, 鈴木純一, 瀬川優子, 高倉理, 高取沙悠理, 高田卓, 田邉大樹, 茅根裕司, 都丸隆行, 羽澄昌史, 長谷川雅也, 服部香里, 濱田崇穂, 松村知岳, 他POLARBEAR-2 コラボレーション
    • 学会等名
      日本物理学会第72回年次大会
    • 発表場所
      大阪大学(大阪府豊中市)
    • 年月日
      2017-03-17 – 2017-03-20
  • [学会発表] POLARBEAR-2のための検出器読み出し・望遠鏡制御システム試験2016

    • 著者名/発表者名
      西野玄記, 秋葉祥希, 井上優貴, 片山伸彦, 鈴木有春, 鈴木純一, 瀬川優子, 高倉理, 高取沙悠理, 高田卓, 茅根裕司, 都丸隆行, 羽澄昌史, 長谷川雅也, 服部香里, 濱田崇穂, 松村知岳, 他POLARBEAR-2 コラボレーション
    • 学会等名
      日本物理学会2016年秋季大会
    • 発表場所
      宮崎大学(宮崎県宮崎市)
    • 年月日
      2016-09-21 – 2016-09-24
  • [学会発表] 宇宙マイクロ波背景放射偏光観測実験 POLARBEAR-2 計画の進展2016

    • 著者名/発表者名
      西野玄記, 秋葉祥希, 井上優貴, 片山伸彦, 鈴木有春, 鈴木純一, 瀬川優子, 高倉理, 高取沙悠理, 高田卓, 茅根裕司, 都丸隆行,羽澄昌史, 長谷川雅也,服部香里,濱田崇穂, 松村知岳, 他 POLARBEAR-2 コラボレーション
    • 学会等名
      日本天文学会2016年秋季年会
    • 発表場所
      愛媛大学(愛媛県松山市)
    • 年月日
      2016-09-14 – 2016-09-16

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公開日: 2018-01-16   更新日: 2022-02-16  

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