研究課題/領域番号 |
26800129
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
高橋 弘毅 長岡技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40419693)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 重力波 / 宇宙物理 / 計算物理 / 相対論 |
研究実績の概要 |
平成27年度は,引き続き時間-周波数解析の一つである Hilbert-Huang 変換 (HHT) を重力波データ解析に適用することを検討し,HHTを用いたデータ解析工程の設計からコード開発,統計処理方法の研究を中心的に行なった. HHT解析では,まず一種の high-pass filter を繰り返して適用する Empirical Mode Decomposition (EMD) を行う.これにより時系列データからデータを複数の周波数帯域モード (IMF: Intrinsic Mode Functions) に分解する.さらに,得られたそれぞれの IMF に対して Hilbert 変換を用いた Hilbert Spectral Analysis (HSA) を行い,瞬時振幅 (IA) や瞬時周波数 (IF) の時間的変動を解析する. EMDでは,ノイズはほぼ等しくIMFに分解され,一方でバースト的な信号は1つのまたは2つの特定のIMFに局在する.この性質を用いてHilbert-Huang変換を用いたバースト重力波イベントトリガーの構築およびその評価を行った.ほぼ全てのバースト重力波波形に対して低い誤検出率で高い検出効率を実現した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の成果を受け,平成27年度には,HHT を用いたバースト重力波イベントトリガーのアルゴリズムを開発し,その最適化プロセスの立案・検証,及び,信号雑音比,計算時間,時間分解能および周波数分解能の改善量を評価するなど,当初の予定通り進んでいる. 国内外の学会・研究会や国際会議でも,その進展状況を報告している.また,平成27年度の成果も,現在,論文としてまとめている最中である. さらに,国内外の研究協力者との打ち合わせや意見交換も,対面やTV会議システムを利用し頻繁に行い研究は順調に進んでいる. 以上を総合的に考慮し,本研究はおおむね順調に進展していると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度,および,平成27年度の成果を受けて,複数の重力波検出器のデータを連係させて検出効率と解析精度の向上を行うためのHHT 解析手法の開発を行う.また、マッチドフィルタ解析との連携も検討し,重力波の性質を詳しく調べるという総合的な検出・解析手法を確立を目指す. 本年度は本研究の最終年度に当たる.研究結果を総括して,Web等を通じて社会,国民を含めて広く公表する.また,今までに得られた結果,問題点,その解決策については,毎年行われる国際会議「重力波データ解析会議」などにて発表をする.
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次年度使用額が生じた理由 |
現有計算機(解析システム)を増強するかたちディスクアレイ(RAID HDD システム)を導入したが,HDDの価格高騰に伴い,次年度にも増強できるようなかたちで,予算内で収まるように増強をし,その端数が次年度使用額として残った.
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次年度使用額の使用計画 |
前年度に,ディスクアレイ(RAID HDD システム)を増強できるようなかたちで導入しているため,増強する予定である.
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備考 |
一般相対性理論100周年を記念した市民講演会を実施した際のwebである.本研究課題の成果も,研究代表者が行った講演内容に含んでいる.
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