研究実績の概要 |
QCDの輻射補正には赤外発散に由来する大きな対数が出現し、ナイーブな結合定数による展開は多くの場合破たんすることが知られている。それらの対数は結合定数のすべての次数で再足し上げ(resummation)をする必要がある。本研究課題はそのような対数項のうち、non-global logarithmと呼ばれるものに注目し、有限カラー数の効果を取り入れてresummationを行った。non-global logは2001年にDasugupta,Salamらによって指摘され、カラーの数が無限大の極限でresummationができることが知られていた。本研究ではHemishere jet mass distributionという電子陽電子消滅での観測量に対するnon-global logを有限カラー数で摂動の全次数で足しあげることに成功した。これはDasgupta,Salamらによる無限大のカラー数での結果以来、15年間成し遂げられなかった快挙である。得られた結果はPhysics Letters B756 (2016) 254-258に掲載されている。
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