研究課題/領域番号 |
26800138
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
高橋 覚 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 研究員 (40402432)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 原子核乾板 / 時間分解能 / ガンマ線 / ニュートリノ / 宇宙線 / 加速器実験 / タイムスタンプ |
研究実績の概要 |
新型多段シフター試作機の、詳細な挙動理解のための試験手法を検討し、そのために必要な装置を選定した。
また、エマルジョンガンマ線望遠鏡による宇宙ガンマ線精密観測に向けて、2015年5月12日に、アリススプリングスにおいて、日豪でのJAXA大気球実験を行い、口径面積3780c㎡、14.4時間(高度37kmの水平浮遊11.5時間)の気球フライトをやり遂げた。本気球実験に、口径面積3780c㎡を持つ従来型の多段シフターを実装し、ミリ秒オーダーの時間分解能を狙った運用を達成した。時間情報付与によってベラパルサーの結像を目指すとともに、89ミリ秒周期をもつパルス放射の位相分解解析のための研究開発をおこなっていく。また、本気球実験に向けた実験設計、様々な改良や準備、そして実際の実験について技術論文としてまとめPTEPに投稿した。
次に、口径面積・フライト時間の拡大を図り、科学観測phaseへの移行を目指す。科学観測開始を実現するための次期気球実験の実現可能性を検討した。本研究開発において進めている新型多段シフターの実現により、2015年気球実験の10-30倍程度の大面積化が図れることを見出した。また、ユニットサイズ拡大に伴う総消費電力の低減により、搭載電池量をおおそ3分の1に減らせる軽量化・低コスト化が図れることを見出した。これらを併せ、次期気球実験の展望を拓いた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
J-PARCにおいて原子核乾板を使ったニュートリノ反応精密測定実験を進めており、2014年度に実現可能性を実証するために、標的質量~kgで、~月スケールの照射を繰り返した。原子核乾板検出器のタイムスタンパーとして、従来型の小型多段シフター(口径面積125c㎡)を実装し、通算126.4日にわたり安定した長期運用を達成した。2015年度に、データ解析をおこない、実際に原子核乾板の飛跡に~秒の時間情報を付与した。また、時間情報も併せたニュートリノ反応事象再構成の実現や、原子核乾板検出器の後方に位置する粒子識別を目的にしたINGRID検出器との対応付けを達成し、ハイブリッド解析が実現可能であることを実証した。
次に、標的質量や照射期間の拡大を図り、検出器性能実証を目指す。2015年豪州気球実験後に回収した従来型の大型多段シフター(口径面積3780c㎡)を調整・試験し、2016年1月にJ-PARCに実装した。現在、連続100日を越えるような安定した長期運用を達成している。
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今後の研究の推進方策 |
新型多段シフター試作機の試験手法を確立させ、試験を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品購入を来年度に変更。
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次年度使用額の使用計画 |
物品購入に充てる。
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