研究課題/領域番号 |
26800140
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
織田 勧 九州大学, 理学研究院, 助教 (10613515)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ヒッグス粒子 / LHC加速器 / ATLAS実験 / 4レプトンチャンネル / 素粒子の標準模型を超える新物理 / 国際研究者交流 / CERN |
研究実績の概要 |
ヒッグス粒子が4つのレプトンに崩壊するチャンネルの解析で使う解析用データの生成を担当した。データ処理の際に用いる検出器の状態のデータを保持するデータベースの管理を12月まで担当した。シリコンストリップ検出器のオフライン処理の責任者として問題の解決や2017年のデータ取得に向けた準備も行った。コントロールルームでのデータ取得シフトも担当した。10月までに積分ルミノシティ約36/fbの重心系エネルギー13TeVの物理解析用データを取得した。 7月までに取得した積分ルミノシティ約15/fbのデータを用いてヒッグス粒子が4つのレプトンに崩壊するチャンネルの解析を行った。生成断面積が81+18-16 pbであるとの予備的な結果を得て、ヒッグス粒子を再発見し、8月に公表した。また、ヒッグス粒子が2つの光子に崩壊するチャンネルの解析結果とも統合した。 https://atlas.web.cern.ch/Atlas/GROUPS/PHYSICS/CONFNOTES/ATLAS-CONF-2016-079/ https://atlas.web.cern.ch/Atlas/GROUPS/PHYSICS/CONFNOTES/ATLAS-CONF-2016-081/ 9月に宮崎大学で行われた日本物理学会2016年秋季大会に参加し、企画講演で成果発表し、最新の情報の収集を行った。3月にイタリアのラトゥイールで行われた国際会議52nd Rencontres de Moriond EW 2017に参加し、アトラス実験とCMS実験でのヒッグス粒子の研究のうち、ヒッグス粒子がボーズ粒子2個に崩壊するチャンネルで、10月までに取得したデータの結果を口頭発表した。LHC加速器での新物理探索に限らず、素粒子と宇宙に関わる実験と理論の広範な話題に関する会議であり、講演を聞き、多くの発表者と密に議論することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2016年7月までに取得した13 TeVでのデータで、ヒッグス粒子を再発見することができ、その結果を日本物理学会の企画講演や国際会議Moriond EW 2017で発表することができたため。 https://atlas.web.cern.ch/Atlas/GROUPS/PHYSICS/CONFNOTES/ATLAS-CONF-2016-079/ https://atlas.web.cern.ch/Atlas/GROUPS/PHYSICS/CONFNOTES/ATLAS-CONF-2016-081/
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今後の研究の推進方策 |
2016年10月までに取得した13 TeVでの積分ルミノシティで36/fbデータを用いて解析を行い、論文にまとめる予定である。 LHCは2017年に積分ルミノシティで45/fbのデータを取得する予定であり、ATLAS検出器や解析の準備も順調である。2017年に取得するデータの解析結果の公表は本研究期間の後になると思われる。
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次年度使用額が生じた理由 |
私的な都合により、CERNへの出張の期間を短くしたため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度では、CERNへの出張の期間を長くし、研究を進展させる。
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