研究課題/領域番号 |
26800143
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
三石 郁之 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (90725863)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | GCIB / X 線望遠鏡 |
研究実績の概要 |
本研究は新規技術として GCIB (Gas Cluster Ion Beam) を導入することで、X 線望遠鏡の反射面の面粗さを改善し、角度分解能の向上をはかるものである。初年度はまずは 2 回の GCIB プロセスを試し、評価を行った。1 回目のプロセスではエッチングパワーが足りず、プロセス前後において反射面の面粗さに有意な差がでなかった。そこで 2 回目はエッチングパワーをあげプロセスを試みた (照射量は最大で 4x10^16 ions/cm^2)。測定後は光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡および反射面の一次元プロファイルを取得し評価した。 結果として、プロセス前後で光学顕微鏡においては有意な差は確認できなかったものの、電子顕微鏡イメージでは照射側となる望遠鏡表側の表面 (材質はシリコン) の一部がえぐれ、GCIB によるエッチング効果が確認できた。しかしながら望遠鏡裏側では変化が見られず、ビームが裏側には届いていないことが分かった。また、反射鏡表面プロファイルでも有意な変化は確認できなかったことから、ビームが 20 um 間隔で並ぶ反射鏡間にほとんど侵入することができない、もしくはエッチングパワー不足であるということが分かった。以上、初年度は穴の表面加工までは確認できたため、次は基板を傾けての反射面の平滑化を試みる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GCIB プロセスを初めて本望遠鏡に試すことができ、望遠鏡の一部にエッチング痕は確認できてはいるものの、反射鏡表面の形状を大きく変えるには至っておらず、さらなる条件出しが必要であることが分かったため。
|
今後の研究の推進方策 |
昨年度の結果から、最重要課題としてはエッチングパワー不足が考えられる。しかしながら現在の装置では最も強いエッチング条件を用いているため、これ以上のパワーの実現には、基板を傾けた上でのエッチング、もしくは装置の変更を検討する必要がある。また、長時間エッチングも考えられるが、反射鏡へのエッチングのみならず、望遠鏡基板へのダメージにも配慮しなければならない。
|
次年度使用額が生じた理由 |
最終年度にも装置選定を行う予定であり、旅費の増加が予想されたため。
|
次年度使用額の使用計画 |
装置選定に伴う旅費にあてる予定である。
|