研究課題
今年度は 2 段型望遠鏡に組み立てての、初めての X 線詳細イメージ解析を行い、角度分解能および有効面積を評価した。結果、FWHM としては ~4 分角程度であったが、HPD としては >90 分角となり、テールの部分が無視できないことが分かった。また有効面積としては ~19 mm2 程度であり、予想値の ~20 % にとどまった。前者については形状誤差および各反射鏡のアライメント誤差 (DRIE プロセス後の反射鏡角度のばらつき) が支配的であることが分かった。また後者についてもアライメント誤差が主要因だと考えられる。これらの結果は共著者として査読付き論文にまとめた。また今年度は本望遠鏡用の光線追跡シミュレータを構築し、初めて 2 段型での off-axis に対する望遠鏡応答を定量的に調べることに成功した。これにより、off-axis が大きくなった場合、正規反射以外のいわゆる迷光成分が角度分解能を大きく劣化しうることが分かった。よって搭載時にはプリコリメータなどの迷光成分の混入防止策を講じる必要がある。また形状誤差をシミュレータの中に取り込むことで、実際に得られた X 線イメージの再現にも成功し、反射鏡の平均的な表面形状の推定に成功した。これらは主著者として査読付き論文にまとめた。最後に、昨年度の結果から、GCIB プロセスでは特に反射鏡表面上の大きなスケールのうねりを選択的に取り除くのが難しいことが分かった。そのため、GCIB プロセス前の反射鏡の平滑化を目指し、改善策を検討し着手した。具体的には、シリコン深堀り技術で知られる DRIE プロセスにおいて、掘り始めと掘り終わりにかけ、プラズマパワーを変える ramping プロセスの導入および DRIE 後のアニールプロセスにおける、圧力および温度の条件だしを行っている。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
Advances in Space Research
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http://dx.doi.org/10.1016/j.asr.2015.08.022
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