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2016 年度 実施状況報告書

銀河宇宙線源の時間的・空間的離散分布を考慮した銀河宇宙線伝播モデルの構築

研究課題

研究課題/領域番号 26800145
研究機関茨城工業高等専門学校

研究代表者

三宅 晶子  茨城工業高等専門学校, 電気電子システム工学科, 講師 (00613027)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワード銀河宇宙線 / 銀河磁場 / 超新星残骸 / 数値実験
研究実績の概要

PAMELAの観測した数十~数百GeVのエネルギー領域における銀河宇宙線陽電子成分の異常増加の起源として、ダークマターを起源とする一次起源陽電子成分や太陽系近傍のパルサーにおける電子・陽電子ペアの生成との関連が議論されている。これらを議論するためには銀河系内における銀河宇宙線伝播計算が不可欠であり、本研究では、観測により推定された銀河磁場モデルや超新星残骸の時間的・空間的な離散分布を考慮した精密な銀河宇宙線伝播モデルの構築を進めている。
平成28年度は、平成26年度の研究で得られた銀河宇宙線のPLDをもとに、銀河宇宙線と星間空間物質との核破砕反応による核種の変化およびエネルギー変化を数値計算する予定であったが、これに加えて銀河系からの漏れだしの効果も詳細に議論する必要がある事が分かってきた。そこで本年は、SDEを前向きに解いて銀河系内の各所に存在する超新星残骸で誕生した宇宙線が銀河系から漏れだす割合(そのエネルギー依存性や銀河風の寄与など)を調査した。この他、エネルギー数十GeV以下の銀河宇宙線のエネルギースペクトルを議論するために開発した太陽圏内での宇宙線伝播モデルの改良も進め、BESSやPAMELAにより観測されたエネルギースペクトルや地上の中性子モニターによる中性子係数率の22年周期変動を再現可能な銀河宇宙線太陽変調モデルを構築した。このモデルの応用として航空機高度における宇宙線被ばくの22年周期変動も計算し、次期太陽活動極少期周辺5年間における年間被ばく線量の平均値が前回の太陽活動極少期周辺5年間に比べて約19%増加することが分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

シンクロトロン放射や逆コンプトン散乱によるエネルギー損失がある銀河宇宙線電子・陽電子のエネルギースペクトルを議論する場合にも、銀河系からの漏れだしの効果を詳細に議論しなければ、エネルギースペクトルのべき指数を再現できないことが分かった。予定を変更し、SDEを前向きに解くことで銀河系内の各所に存在する超新星残骸で誕生した宇宙線が銀河系から漏れだす割合を丁寧に調査したため、銀河宇宙線と星間空間物質との核破砕反応による核種の変化およびエネルギー変化の数値計算が予定より遅れてしまった。
他方、エネルギー数十GeV以下の銀河宇宙線のエネルギースペクトルを議論するために改良を進めていた太陽圏内での宇宙線伝播モデルは、BESSやPAMELAにより観測されたエネルギースペクトルや地上の中性子モニターによる中性子係数率の22年周期変動を再現可能なレベルに到達した。

今後の研究の推進方策

これまでの研究で得た銀河宇宙線の通過物質量分布を用いて、銀河宇宙線と星間空間物質との核破砕反応による核種の変化およびエネルギー変化を数値計算し、地球近傍で期待される二次起源銀河宇宙線(電子の二次起源成分、陽電子、反陽子)のエネルギースペクトルを計算する。また平成28年度の研究で分かった銀河宇宙線の漏れだしの寄与を数値計算結果に組み込んで一次起源銀河宇宙線のエネルギースペクトルも計算し、銀河宇宙線電子・陽電子比を計算する。数値計算結果はAMSやPAMELA、BESSなどの観測結果と比較し、数十~数百GeVのエネルギー領域における銀河宇宙線陽電子成分の異常増加の起源を定量的に議論する。

次年度使用額が生じた理由

参加予定であったCOSPAR科学総会が中止になり参加できなかった。また高専機構在外研究員として1年間渡米していたため、物品等も購入できなかった。投稿・受理された論文も、掲載時期が次年度になるため本年度の経費としては計上できなかった。

次年度使用額の使用計画

昨年度に受理された論文の投稿費用として利用する。また数値計算結果が膨大になりデータ容量が不足傾向にあるので、新規にハードディスクを購入する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Cosmic Ray Modulation and Radiation Dose of Aircrews During the Solar Cycle 24/252017

    • 著者名/発表者名
      Shoko Miyake, Ryuho Kataoka, and Tatsuhiko Sato
    • 雑誌名

      Space Weather

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • DOI

      10.1002/2016SW001588

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [備考] 三宅准教授ら、航空機高度での宇宙線被ばく量を2024年まで予測

    • URL

      http://www.ibaraki-ct.ac.jp/?page_id=8982&preview=true

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公開日: 2018-01-16  

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