研究課題
本研究は、中性子検出効率を向上させるガドリニウムを含有する新型プラスチックシンチレータを開発し、原子炉から放出されるニュートリノを検出することで、原子炉内の状況をモニターする検出器を開発することを目的としている。平成26年度においては、本研究以前に使用していたプラスチックシンチレータ樹脂の再選定を行うことで、より黄変の少ないプラスチックシンチレータを作成できるようになり、発光量の大幅な向上が得られた。標準的なプラスチックシンチレータ(BC408)と比較してガドリニウムを含有した場合に約40%の発光量を得られるようになり、ガドリニウムを含有しない場合には50%程度の発光量が得られた。平成27年度においては、前年度に選定した新しい樹脂を用いたガドリニウム含有プラスチックシンチレータによって、20cm×50cm×4cm厚、5 kgサイズの中型サンプルを作成することに成功した。また、作成した中型サイズプラスチックシンチレータサンプルを用いて、Am/Be中性子線源の照射による原子炉ニュートリノ擬似信号を、遅延同時計測法による検出を試みた。先発信号として4.43 MeVのガンマ線によるエネルギー分布が確認できたが、中性子のガドリニウム捕獲によって放出される合計8 MeVのガンマ線エネルギー分布は充分なサイズの検出器を作成することが出来なかったため確認できなかった。一方、先発・後発の時間差による中性子捕獲時間を検証したところシミュレーションとの一致が得られたため、中性子のガドリニウム捕獲信号を確認できた。今後シンチレータの透明性や均一性の向上、長期安定性の検証など行ったのち、さらなる大型化をして実際のモニター化を進めていきたい。また、今回ホウ素含有プラスチックシンチレータの開発も行い、中性子捕獲信号の分布を確認することが出来ており、さらなる発展が期待できる。
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