「親星の回転速度を系統的に変えた2次元軸対称シミュレーション」において前年度直面していた技術的問題は、当初の予定より時間がかかったものの無事解決し、現在はプロダクティブランを進めている。この数値シミュレーションに関しては本研究期間中に成果を出すことがかなわなかったが、ここで得た土台を元に今後も研究を継続していく。
「磁気回転不安定を伴う重力崩壊型超新星におけるrプロセス元素合成計算」の研究では、平成27年度までにニュートリノ加熱に比べ磁場の影響が強い場合にrプロセス元素が合成されやすいことがわかっていた。平成28年度はさらに計算モデルを増やし、この傾向が確かであることを確認した。また、亜鉛やニッケルなどrプロセス元素以外の元素合成も計算した。その結果、磁場の影響が強い場合とニュートリノ加熱が強い場合の双方において、極超新星に匹敵する量の亜鉛が生成されることが示された。一方、ニッケルの生成量は多くても通常の超新星程度であった。このような元素組成は過去の研究では見られなかった新しいパターンであり、磁場を伴う超新星と極超新星との関係において興味深い。これに関しては、今後の研究においてより詳しく調べていきたい。
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