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2014 年度 実施状況報告書

大強度ビームラインにおけるビーム軌道自動制御システムの研究

研究課題

研究課題/領域番号 26800153
研究機関大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構

研究代表者

上利 恵三  大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 技師 (30391741)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード大強度ビームライン / ビームライン制御 / 電磁石電源
研究実績の概要

この研究は安定・安全・高速な動作をするProgrammable Logic Controller(PLC)を用い加速器施設の常伝導電磁石用直流電源を自動制御するシステムの開発である。近年、J-PARC、LHCやILCに代表される大強度ビームラインで電磁石は大電力の電源で運転・制御され、電源の故障や設定値の誤りにより、ビームが短時間に取り出されたり、あらぬ方向に偏向したりすると加速器機器や施設が多大に放射化や発熱するため、電源制御システムは非常に重要である。本研究は加速器機器で分散制御システムを開発・実装するのによく使用されるExperimental Physics and Industrial Control System(EPICS)によりビームプロファイルをPLCに取り込み、ビーム軌道計算し、電流・電圧の設定値を各電源にフィードバックすることによりビーム軌道自動制御システムの構築を最終目標とする。もしこの研究が成功するのであれば、世界中の大強度加速器ビームラインに安全で安定した電源制御システムを構築できる。
これまでの研究実績はまず電磁石電源の調査を行った。電磁石電源は高い安定度が要求され、通常電源の安定度は10の-4乗以内で制御されている。しかし電源制御で使用予定であったPLCのアナログ出力モジュールの電圧出力安定度は最高でも10の-3乗以内であり、十分な安定度が得られないことがわかった。このままPLCを使用するとビームプロファイル、エミッタンスが時間ごとに変動し、安全・安定したビームを実験に供給できなくなる。そのため高精度の電圧発生装置であるソースメジャーユニットを使用し、またこれをPLCで制御することを現在検討している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初電磁石電源をPLCのみで制御することを予定していた。電源出力の安定度は加速器を運転し安定したビームを実験へ提供する上で重要であり、安定度は10の-4乗以内で運用している。しかしPLCのDACモジュールの電圧出力安定度が10の-3乗であることが平成26年度の研究で発覚した。このままPLCのみで電磁石電源を制御すると電源の電流が安定せず、ビームプロファイルやエミッタンスに影響が出ることが考えられるため、PLC、タッチパネルなどはまだ購入せず、研究の中断を余儀なくされた。
上記の対処方法としては、PLCのDI/DOもしくはGPIBモジュールでソースメジャーユニットと呼ばれる高精度の電圧発生装置を制御し、電源制御として使用することを考えている。

今後の研究の推進方策

PLCによる電源制御を確立させるため、まずPLCやソースメジャーユニットを購入し、DI/DOもしくはGPIBにより高精度の電圧発生装置であるソースメジャーユニットを動作させることにより、電源制御をローカルで行う。次に電源本体をLAN経由で遠隔操作・制御できるか調査する。またビーム運転時のデータ(ビーム中心位置、幅、強度など)をPLC内でEPICSよりデータを取得できるか調査し、それらを基にしてビーム軌道を計算し、最適な電源の電流・電圧値を設定できるPLCのプログラムを作成する。それが成功すれば加速器内の電源にこのシステムを組み込み実際のビームラインを使用してビーム制御方法を確立する。
最終的に上記の結果を国内・国外の学会や論文でこの研究を国民に広く発信する。

次年度使用額が生じた理由

当初電磁石電源をPLCのみで制御することを予定していた。電源の安定性は加速器を運転し安定したビームを実験へ提供する上で重要であり、安定度は10の-4乗以内で運用している。しかしPLCのDACでは安定度が10の-3乗であることが平成26年度の研究で発覚した。このままPLCで電磁石電源を制御すると電源の電流が安定せず、ビームプロファイルやエミッタンスが変動し陽子ビームを使用した実験に影響が出ることが発覚した。そのため、PLC、タッチパネルなどはまだ購入せず、研究の中断をしたためである。

次年度使用額の使用計画

まず電源の安定度に必要な物品を選定する。例えばソースメジャーユニットと呼ばれる高精度の電圧発生装置を用い、またそれをPLCのDI/DOもしくはGPIBモジュールで制御することにより電源の安定度を確保できると考えている。上記の方法が電源の安定度を確保できるか十分確認し、確保出来る場合はPLC、ソースメジャーユニット、タッチパネル、ケーブルなどを購入する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Upgrades of Temperature Measurements and Interlock System for the Production Target at J-PARC Hadoron Experimental Facility2015

    • 著者名/発表者名
      Keizo Agari
    • 学会等名
      International Conference on Accelerator and Large Experimental Physics Control Systems (ICALEPCS)
    • 発表場所
      Melbourne, Australia
    • 年月日
      2015-10-17 – 2015-10-23

URL: 

公開日: 2016-06-01  

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